ビジネスマナー

電話対応の基本マナー|受け方・かけ方・取り次ぎ

更新: 高橋 誠一

電話応対は、出た人の印象がそのまま会社の印象になる仕事です。
この記事では、会社の代表として失礼にならない電話対応の型を、受電・架電・取り次ぎの3本柱で手早く確認できるように整理します。

押さえるべきポイントは、最初の一言から保留、折り返し、不在対応、伝言メモまでを定番フレーズとOK/NGの対比で具体化することです。
新入社員研修の現場でも、つまずきやすいのは第一声が曖昧なこと、名前と連絡先の聞き漏れ、そして長い保留の3点にほぼ集約されます。

3コール以内に出るという基本や、「もしもし」を避けたほうが無難という実務感覚に加え、2025年時点では通話録音と個人情報への配慮、継続的な教育と評価の考え方まで知っておくと応対の質は安定します。
知識として知るだけでなく、誰が受けても一定水準で実践できる型に落とし込むことが、このテーマの核心です。

電話対応の基本マナー|まず押さえたい5つの原則

電話対応の基本は、個々のテクニックよりも「型」をそろえることにあります。
誰が出ても一定水準に見える会社は、最初の名乗り、確認の仕方、切り方までがぶれません。
新入社員研修でも、まずこの5つを定着させると応対品質が安定します。

3コール以内と第一声の型

一般的な。
相手に「待たせた」という印象を与えにくく、受け手側の体制が整っていることも伝わるからです。
3コールを超えた場合は、出た瞬間に何事もなかったように話し始めるのではなく、待たせたことへのひと言を添えるだけで印象が変わります。

第一声で押さえたいのは、会社の代表として話すという意識です。
声量は控えめではなく明るく、スピードはややゆっくり、語尾まで丁寧に言い切ります。
電話では表情が見えないため、少し口角を上げて話すくらいのほうが、実際にはちょうどよく聞こえます。
研修でも、無表情で原稿を読むように話す人より、笑声を意識して語尾を落とさず話す人のほうが、同じ文言でも安心感が出ます。

名乗り方の型は、社名→部署→氏名です。
たとえば「お電話ありがとうございます。
○○株式会社、営業部の△△でございます」と名乗れば、相手は一度で情報を整理できます。
逆に、短すぎる名乗りは社外電話では不親切になりがちです。

OKとNGを並べると違いがはっきりします。

OK:「お電話ありがとうございます。○○株式会社△△でございます」 NG:「もしもし、○○です」

すぐに出られなかった場合や不在着信に気づいた場合も、放置すると、相手は「伝わっていないのでは」と不安を抱き、別の連絡先を探し始めてしまいます。
折り返しになるときは、その前提を明確に伝えます。
たとえば「先ほどはお電話をいただきありがとうございました。
担当より折り返しご連絡いたします」のように、次の動きが見える言い方だと相手を不安にさせません。

復唱・メモでミスを減らす

電話対応の失敗は、話し方より確認不足で起きることが多いものです。
とくに聞き漏れや勘違いが出やすいのは、相手の会社名、氏名、連絡先、要件、日時です。
この5点は、その場で理解したつもりにならず、復唱とメモで残すのが基本です。

たとえば「株式会社山田商事の山田様、お電話番号は03から始まる…、ご用件は来週火曜日の打ち合わせ日程の件でよろしいでしょうか」と区切って確認すると、相手も修正しやすくなります。
名前や数字を一度にまとめて聞き返すより、短く区切って確認するほうが正確です。
電話が苦手な人ほど、全部を頭で覚えようとして失敗しがちですが、実務では覚えることより残すことが優先です。

伝言メモにも最低限の型があります。
相手の会社名・氏名、受電日時、用件、連絡先、折り返しの要否、受電者名まで入っていれば、担当者があとで見ても判断しやすくなります。
こうした記録の質をそろえるには、『電話メモ・伝言メモに書くべき項目』で紹介されるような定型項目をあらかじめ決めておく方法が有効です。
電話応対は個人技に見えて、実際にはテンプレート運用との相性が良い分野です。

【テンプレート付き】電話メモ・伝言メモに書くべき項目や書き方・業務効率化のコツを解説 | マネーフォワード クラウド biz.moneyforward.com

もしもしを避ける理由

会社の電話で「もしもし」を避けたほうが無難とされるのは、くだけた印象が出やすく、第一声としての情報量も少ないからです。
家庭や私用の電話では自然でも、ビジネスの受電では社名を名乗るほうが相手にとって親切です。

もともと相手が聞き取りやすいように発する言葉として定着した経緯はありますが、会社電話では「誰が出たのか」が最優先です。
そのため、最初に必要なのはあいさつ風の言葉より、所属の明示です。
社名が先に来れば、相手は「つながった先が正しい」と即座に判断できます。

実務上は、慣れていない人ほど受話器を取った瞬間に「もしもし」が先に出ます。
これは癖なので、直すには意識だけでは足りません。
受電フレーズを決めて口に慣らすほうが早く、「お電話ありがとうございます。
○○株式会社、△△でございます」をそのまま反射で出せる状態にすると安定します。
電話応対の基本マニュアルでも、第一声の名乗りと終話の丁寧さが重視されており、型を持つことの重要性がわかります。

静かに切る—終話マナー

電話は、話し終えた瞬間ではなく、切り方まで含めて応対です。
基本は、相手が切ったことを確認してから受話器を置くこと。
こちらから先に勢いよく切ると、せっかく丁寧に話していても、終わり際で雑な印象を残します。

終話で見落とされやすいのが、受話器を置くときの音です。
教育現場では、通話内容そのものに問題がなくても、最後に「ガチャン」という雑音が入ったことで不快感を持たれ、クレームの火種になった事例を注意事項として共有することがあります。
相手は会話の細部より、最後の感触を強く覚えていることがあるためです。
受話器は手を添えて静かに戻す、この一動作まで含めてビジネスマナーと考えるのが実践的です。

保留解除後の終話でも同じです。
「失礼いたします」と言い切ってから、すぐに切らず一拍置くと落ち着いた印象になります。
電話では見えない所作が、音として相手に伝わります。

💡 Tip

終話時は、言葉を言い終えてすぐ受話器を置かず、ひと呼吸おいて静かに戻すだけで印象が整います。

用語メモ:応対と対応の違い

言葉としては「電話応対」と「電話対応」が混在していますが、ニュアンスには少し違いがあります。
一般に応対は相手との受け答えや接し方といった対人コミュニケーションの質を指し、対応は問い合わせ処理や問題解決といった業務遂行寄りの意味合いが強めです。

そのため、話し方・名乗り方・切り方のようなマナー面を述べるなら「電話応対」がしっくりきます。
一方で、折り返し手配や不在案内、記録の共有まで含めると「電話対応」という表現も自然です。
本記事では実務で広く通じる一般用語として両方を併用しますが、厳密にはこの差を押さえておくと用語の理解がぶれません。

受け方/かけ方/取り次ぎの違い

電話の場面は似ていても、受け方・かけ方・取り次ぎでは目的が異なります。
受け方の主目的は、相手の要件を正確に受けることなので、最優先は社名・部署名・氏名を名乗ったうえで、相手の会社名、氏名、要件、連絡先を聞き取り、復唱とメモで取りこぼさないことです。
かけ方では、こちらの要件を簡潔に伝えることが中心になるため、相手の都合を先に確かめ、結論から話す力が問われます。
取り次ぎは、担当者へ正確につなぐことが目的で、誰宛てか、要件の概要、折り返しの要否を短く整理し、保留を長引かせず、不在時はお詫び、不在の伝達、折り返し提案の順で案内するのが基本です。
失敗しやすい点もそれぞれ異なり、受電では名前の聞き漏れ、架電では話が長くなること、取り次ぎでは誤転送や伝言漏れが目立ちます。
この違いを意識すると、電話を「全部同じ作法」で処理しなくなり、場面ごとの精度が上がります。

電話を受けるときの基本手順|第一声から用件確認まで

第一声と名乗りの順番

受電は、着信してからの数秒で印象が決まります。
一般的な実務では3コール以内に受話器を取り、第一声は「もしもし」ではなく、会社名と自分の所属が伝わる形に整えます。
基本の型は、お礼のひと言→社名→部署名→氏名です。
たとえば「お電話ありがとうございます。
○○株式会社、営業部の△△でございます」と言えば、相手は正しい番号につながったことをすぐ確認できます。

この順番が大切なのは、相手が電話口の人を「会社の代表」として受け止めるからです。
声は少し明るめ、語尾まではっきり言い切ると安定します。
名乗りを急ぎすぎて社名がつぶれると、その後の確認が増えてかえって時間を使います。
第一声は短くても、情報を削ると、その後の確認が増えてかえって時間を使います。

受電の流れをそのまま再現すると、次の順になります。

  1. 着信に気づいたら受話器を取る
  2. 「お電話ありがとうございます。○○株式会社△△でございます」と第一声を述べる
  3. 相手の会社名・氏名を伺う
  4. 用件を確認する
  5. 必要事項を復唱し、取り次ぎまたは回答に進む
  6. 終話のあいさつをして、静かに電話を切る

言い回しは少しの差で印象が変わります。
たとえば「少々お待ちいただけますか」は丁寧ですが、「ちょっと待ってください」は社外応対では軽く聞こえます。
同じ内容でも、定番の型に寄せるだけで受け答えの質はそろいます。

相手の会社名・氏名の確認と復唱

第一声の次に重要なのが、相手の会社名と氏名を正確に確認することです。
受電で起きやすいミスは、用件そのものより先に、ここで始まります。
名刺交換と違って文字情報が見えないため、聞き取れたつもりで進めると後で伝言や取り次ぎに支障が出ます。

基本の聞き方は、「恐れ入りますが、御社名とお名前を伺ってもよろしいでしょうか」です。
相手が名乗ったら、そのまま流さず、会社名と氏名を区切って復唱します。
たとえば「株式会社山田商事の山田様でいらっしゃいますね」と確認すれば、相手も訂正しやすくなります。
部署名まで聞こえた場合は、「○○部の△△様」と順に整えて返すと情報が整理されます。

初見の社名は、とくに聞き間違いが起こりやすいものです。
研修でも定番の対処として伝えているのが、聞き取れなかった社名をいったんカタカナで書き留め、区切って確認する方法です。
たとえば聞き慣れない社名が出たときに、「恐れ入ります、社名を確認させてください。
カタカナで申しますと、○○でよろしいでしょうか」と返すと、多くの誤認は防げます。
さらに氏名も「お名前は一字ずつ確認してもよろしいでしょうか」「漢字ではどのように書かれますか」と聞ければ、伝言メモの精度が大きく上がります。
教育現場では、この一手間で後工程の混乱を減らせます。

聞き取りづらい場面では、一度に全部を聞き返さないほうが賢明です。
社名、部署名、氏名を分けて確認すると、相手にも負担が少なく、こちらのメモも追いつきます。
復唱は確認作業であって、失礼な行為ではありません。
むしろ正確さを優先している姿勢として受け取られます。

要件の要約とメモ

相手確認の次は、要件を短く要約して受け取ることです。
ここで使いやすい定番が「どのようなご用件でしょうか」です。
ぶっきらぼうにならず、しかも要件の入口を明確にできます。
相手の話を最後まで聞いたうえで、「○○の件で、△△についてのお問い合わせということでよろしいでしょうか」とまとめると、その後の取り次ぎや回答判断がしやすくなります。

要件は聞いた順に全部覚えようとせず、重要語だけ先にメモするのが実務的です。
とくに誤りやすいのは、日時、数量、型番、品番、金額、連絡先です。
こうした要素は会話の中で流し聞きすると抜けやすいため、単語単位で拾います。
たとえば「来週水曜」「10時」「見積書」「型番AB123」「折り返し希望」など、後で見返して判断できる語を残します。

受電メモは自由記述より、項目を固定したテンプレートのほうが安定します。最低限そろえたいのは次の内容です。

項目記入内容
日付・時刻受電した日付と時刻
相手情報会社名、部署名、氏名
連絡先電話番号、必要に応じてメールアドレス
要件何の件かを一文で要約
詳細日時、数量、型番、期限など重要事項
対応者電話を受けた人の名前
折り返し可否折り返し希望の有無、希望時間帯

この型があると、担当者へ引き継ぐ際に抜けが減ります。
『電話応対・伝言の7つの基本手順』や『電話メモ・伝言メモに書くべき項目』でも、相手情報、用件、連絡先、折り返し要否をそろえる考え方が共通しています。
電話応対の質は話し方だけでなく、メモの質でも決まります。

慣れれば簡単!電話が鳴っても怖くない!電話応対・伝言の7つの基本手順|マイナビキャリレーション mynavi-cr.jp

聞き返し・聞き取りづらい時のフレーズ

電話では、回線状況や話す速さのために聞き取りにくい場面が必ずあります。
そのときに曖昧なまま進めると、担当者への伝達で食い違いが起き、折り返し時に相手を混乱させます。
聞き返しは、短く、丁寧に、確認したい点を絞って行います。

使いやすい定番は次のような表現です。

  • 「恐れ入ります、もう一度お名前を伺ってもよろしいでしょうか」
  • 「恐れ入ります、少々お電話が遠いようです」
  • 「社名を確認させていただいてもよろしいでしょうか」
  • 「お名前は一字ずつお願いできますでしょうか」
  • 「復唱いたします。○○株式会社の△△様でいらっしゃいますね」
  • 「日時は○月○日、○時で承りました。復唱いたします」

ここで大切なのは、単に「え?」と返さないことです。
何が聞き取れなかったのかを示すほうが、相手も答えやすくなります。
たとえば名前だけが不明なら名前だけを、電話番号だけが曖昧なら数字だけを聞き返します。
数字は「03」「090」などの区切りで復唱し、アルファベットや型番は「A、B、1、2、3」のように分解して確認します。

OKとNGを並べると、現場での差がつかみやすくなります。

  • OK:「少々お待ちいただけますか」

NG:「ちょっと待ってください」

  • OK:「恐れ入ります。もう一度お名前を伺ってもよろしいでしょうか」

NG:「何ておっしゃいましたか」

  • OK:「復唱いたします。○○でよろしいでしょうか」

NG:「たぶん○○ですよね」

  • OK:「担当者に確認のうえ、おつなぎいたします」

NG:「たぶんいると思うので代わります」

  • OK:「あいにく席を外しております。戻りましたら折り返しご連絡いたしましょうか」

NG:「いません」

担当者へ取り次ぐ段階では、誰宛てかを確認し、担当者名を復唱してから保留に入ります。
「○○宛てでございますね。
少々お待ちいただけますか」が基本形です。
自分で回答できる内容か、社内担当へつなぐべき内容かをここで判断し、必要であれば保留のうえ確認します。

ℹ️ Note

聞き返しは回数より言い方が悪いと、相手に「話を聞いていなかったのか」という不信感を与えます。短く区切って確認すると、相手は「聞き返された」と感じにくく、内容の精度だけが上がります。

終話の一言と切り方

通話の締め方にも型があります。
要件確認や取り次ぎが終わったら、「承知いたしました」「かしこまりました」で受け止めたうえで、終話の一言を添えます。
受電の締めとして使いやすいのは、「本日はお電話ありがとうございました」「失礼いたします」です。
用件が完了していても、無言で切ると印象が急に途切れます。

取り次ぎ後に担当者不在がわかった場合は、お詫び、不在の伝達、折り返し提案の順で案内すると自然です。
たとえば「あいにく○○は席を外しております。
戻りましたら折り返しご連絡いたしましょうか」と伝えれば、相手は次の動きを判断しやすくなります。

電話は、言葉が終わった瞬間ではなく、受話器を置くまでが応対です。
相手が切ったことを確認してから、静かに終話します。
会話が丁寧でも、受話器を強く置く音で印象を崩すケースは珍しくありません。
終話では一拍置き、手を添えて静かに戻す。
それだけで全体が整って聞こえます。
受電の基本手順は多く見えても、実際は「名乗る、確認する、要約する、復唱する、丁寧に切る」の繰り返しです。
この型を崩さなければ、初心者でも安定した応対ができます。

電話をかけるときの基本マナー|準備・時間帯・話し方

かける前の要件整理チェック

架電は、受電よりも「準備の差」がそのまま会話の質に出ます。
相手の時間を使う以上、電話をかける前に要件を頭の中だけで整理するのではなく、短いメモに落としておくのが基本です。
押さえたいのは、何の件で、何をお願いしたくて、どんな結論に着地させたいのかの3点です。
ここが曖昧だと、話し始めてから前置きが長くなり、相手に「結局何の電話なのか」が伝わりません。

メモには、要件、目的、結論に加えて、会話で必要になる具体情報も先に並べておきます。
たとえば案件名、発注番号、候補日程、数量、締切などです。
日程調整の電話なのに候補日が1つもない、問い合わせの電話なのに注文番号が手元にない、という状態は避けたいところです。
担当者名、部署名、内線番号までわかっていれば、取次ぎの段階でもたつきにくくなります。
担当者が不在だった場合に備えて、伝言内容や代替案も一緒に準備しておくと、折り返し依頼だけで終わらず、相手先の負担も減らせます。

現場で使いやすい確認項目は、次の形にすると整理しやすくなります。

  • 要件は一文で言えるか
  • 電話の目的は明確か
  • 先に伝える結論は決まっているか
  • 案件名、発注番号、日程案など必要情報が手元にあるか
  • 相手の担当者名、部署名、内線がわかっているか
  • 不在時の伝言と代替案を用意しているか

この準備があるだけで、電話の印象は変わります。
研修でも、話す前に「結論」「根拠」「確認したい点」を3行で書き出してもらうと、通話のまとまりが一気に良くなります。
実際、結論先出しの型に変えたグループは、だらだら説明する癖が減り、結論先出し→根拠→確認の順で会話を組み立てることでAHTが縮むパターンがはっきり見えました。
電話は流暢さより、順番の設計が効きます。

避けたい時間帯と配慮

電話をかけるマナーでは、話し方と同じくらい時間帯への配慮が欠けていると、内容が適切でも「空気が読めない」という印象だけが残ります。
内容が適切でも、相手が最も忙しい時間にかければ、それだけで印象は下がります。
一般に避けるのが無難なのは、始業直後、昼休み、終業間際、そして月曜の朝です。
始業直後は社内共有やメール確認が集中しやすく、昼休みは担当者が席を外していることが多く、終業間際は締め作業が重なります。
月曜朝は週初めの会議や段取り調整が入りやすいため、短い連絡でも割り込み感が出やすくなります。

加えて見落としやすいのが、相手の繁忙期です。
経理なら月末月初、採用担当なら選考時期、営業部門なら四半期末など、部署ごとに電話しづらい時期があります。
形式的なマナーだけではなく、相手の業務の流れを想像できるかどうかが、実務では差になります。

電話がつながったら、すぐ本題に入る前に相手の都合を確認します。
使いやすい基本形は、「いま2〜3分ほどお時間よろしいでしょうか」です。
この一言があると、相手は今話せるか、折り返しにしたいかを判断できます。
反対に、「ちょっといいですか」は要件も時間感覚も曖昧で、社外の電話では軽く聞こえやすい表現です。

OKとNGを並べると違いが明確です。

  • OK:「いま2〜3分ほどお時間よろしいでしょうか」
  • NG:「ちょっといいですか」
  • OK:「本題から失礼いたします」
  • NG:「えっと、少しご相談がありまして」

短い電話ほど、冒頭の配慮で印象が決まります。時間帯を外し、つながった瞬間に都合確認を入れる。この2点だけでも、失礼な架電になりにくくなります。

会話の順番と結論先出し

架電では、何を話すか以上に、どの順番で話すかを外すと、相手は着地点が見えないまま聞き続けることになり、話が終わっても「結局何の電話だったか」が残りません。
基本の流れは、挨拶、社名と氏名、相手確認、都合確認、結論先出し、詳細説明、所要時間の提示です。
この順番に沿うと、相手は状況をすぐ把握でき、不要な聞き返しも減ります。

実際の言い回しにすると、次のような形です。
「お世話になっております。
株式会社○○の△△です。
○○部の□□様はいらっしゃいますでしょうか」「おつなぎいただきありがとうございます。
いま2〜3分ほどお時間よろしいでしょうか」「本題から失礼いたします。
来週の打ち合わせ日程について、ご相談のお電話です」。
ここまでで、誰が、誰に、何のために電話しているかが明確になります。

このあとに詳細を重ねます。
「候補日は○日と○日で考えております。
背景として、先方との確認期限が今週中のため、本日中に一度ご意向を伺えればと思っております」のように、結論のあとで根拠を添えると自然です。
説明から入ると、相手は着地点が見えないまま聞くことになり、集中しづらくなります。
研修でも、先に事情を長く述べる人ほど話が散りやすく、逆に「結論→理由→確認事項」で話す人は、相手の返答も早くなりました。
通話時間の短縮は、早口で話すことではなく、相手が判断しやすい並びにすることで生まれます。

所要時間を示すのも有効です。
「確認は1点のみです」「2〜3分で終わります」と言われると、相手は安心して耳を傾けやすくなります。
反対に、冒頭で時間感覚を示さずに話し始めると、相手は長電話を警戒します。
架電では、こちらが主導するのではなく、相手が参加しやすい形に整えるのが礼儀です。

終話のまとめ方

通話の終わり方は、話の内容以上に記憶に残ります。
要件が済んだら、そのまま切るのではなく、お礼、次のアクションと期限の明確化、挨拶の順で締めると整います。
たとえば「お時間をいただき、ありがとうございました。
では、明日午前中までに見積書をお送りします。
どうぞよろしくお願いいたします」のように、次に何が起きるかを一言で確認します。
これがないと、双方の理解が微妙にずれたまま終わることがあります。

終話では、あいまいな締めも避けたいところです。
「では、また」「取り急ぎ失礼します」だけでは、社外の相手には少し軽く響くことがあります。
業務連絡であれば、「ありがとうございました。
失礼いたします」が基本形です。
折り返しを待つ場合も、「それでは、ご連絡をお待ちしております。
よろしくお願いいたします」と次の動きを言葉にしておくと、行き違いが減ります。

受電の場面と同様、電話は相手が切ってから終話するのが原則です。
自分から先に切ると、相手がまだ一言添えようとしていた場合にぶつ切りになってしまいます。
静かに受話器を置くところまで含めて、応対の印象が決まります。

💡 Tip

終話前に「本日の確認は以上でございます」「では、○日までにこちらからご連絡いたします」と一文入れると、会話の終点が明確になります。

英語最小フレーズ

英語で電話をかける場面でも、構成は日本語と同じです。
名乗る、相手を確認する、都合を確認する、本題を簡潔に伝える、この順番を崩さなければ十分通じます。
最初の一文として使いやすいのは、“This is ○○ Company, △△ speaking. May I speak to {Name}?” です。
社名と自分の名前を先に示し、誰につないでほしいのかを明確にできます。

担当者につながった後は、“Do you have two or three minutes?” と言えば、日本語の「いま2〜3分ほどお時間よろしいでしょうか」に近い形になります。
本題に入るときは、“I’m calling about the meeting schedule.” のように、用件を一文で先に出します。
ここでも長い前置きは不要です。

英語の電話で詰まりやすいのは、難しい単語ではなく、最初の定型を決めていないことです。
社名、氏名、担当者名、要件の一文だけでも固定しておくと、緊張しても崩れにくくなります。
特に発信側は会話の入口を作れるため、最小フレーズを手元に置いておくだけで十分に実務対応の形になります。

電話の取り次ぎ方|担当者につなぐ・不在時に伝言を預かる

在席時の取り次ぎ

取り次ぎで最初に行うべきことは、誰宛ての電話かを正確に確認することです。
聞き取れたつもりで内線を回すと、誤転送が起きやすくなります。
担当者名は省略せず、フルネームで復唱します。
たとえば「営業部の山田太郎ですね。
少々お待ちいただけますか」と返すと、相手にも確認が取れ、受け手側の認識違いを防げます。

社内の人名の扱いにも注意が必要です。
社外の相手に対して、自社の人を「山田さん」「山田部長」と持ち上げる言い方はしません。
取り次ぎの場面では、自社の人名は呼び捨てにし、「山田におつなぎいたします」「山田はただいま席におります」と表現するのが基本です。
ここは新入社員が特につまずきやすいところですが、敬意は相手に向け、自社側はへりくだって示すと考えると整理しやすくなります。

担当者が在席している場合は、確認後に一言添えて接続します。
「お待たせいたしました。
山田におつなぎいたします」という短いひと言があるだけで、相手は今どういう状態かを把握できます。
無言で保留が切り替わると、つながったのか、切れていないのかが分かりにくく、不親切な印象になりがちです。

保留の入れ方と中間報告

保留は、操作そのものより入れ方の順番が欠かせません。
基本は「少々お待ちいただけますか」と了承を得てから保留ボタンを押し、その後に社内確認へ移ります。
先に受話器を置いたり、何も言わずに保留へ切り替えたりすると、相手は置き去りにされたように感じます。

現場で指導していて特に差が出るのが、保留時間の感覚です。
30秒を超えると、待たされている側の不満は一気に高まりやすくなります。
実際には同じ待ち時間でも、途中で「ただいま確認しております。
もう少々お待ちいただけますか」と中間報告が入るだけで、相手の受ける印象は和らぎます。
取り次ぎが上手い人ほど、単に待たせるのではなく、待っている理由を短く伝えています。

長い保留を避けるには、内線一覧や担当者の所在が分かる仕組みを手元に置いておくことも有効です。
それでも確認に時間がかかる場合は、保留を入れっぱなしにせず、いったん戻って状況を伝えます。
「ただいま確認しております」「まもなくご案内いたします」といった一言があるだけで、通話の安心感は保てます。

ℹ️ Note

保留は「お願いしてから押す」「(実務上の目安として)30秒程度で一度途中報告する」「戻ったら現状を説明する」の3点で、印象が大きく変わります。

不在・外出・会議中・休みの伝え方

担当者がいない場合は、ぶっきらぼうに事実だけを返すと、相手は「たらい回しにされた」と感じて会社全体への不信感につながります。
基本の流れは、お詫び、不在理由の案内、次の提案です。
「申し訳ございません。
山田はただいま外出しております」のように、まず一度お詫びを置くと応対が柔らかくなります。

不在理由は、差し障りのない範囲で簡潔に伝えます。
使いやすいのは「席を外しております」「外出しております」「会議中です」「本日は休みをいただいております」といった表現です。
詳細な行き先や会議内容まで伝える必要はありませんし、むしろ言い過ぎは避けたいところです。
相手に必要なのは事情の細部ではなく、「いまつながるか、いつ対応できるか」です。

戻りの見込みが分かっているなら、時刻の目安まで添えると親切です。
「山田はただいま外出しております。
16時ごろ戻る予定です」「会議中のため、14時半以降であれば対応しやすい見込みです」といった言い方なら、相手も次の判断をしやすくなります。
反対に「いません」「分かりません」だけで終えると、相手は次にどうすればよいか決められません。

休みの伝え方でも同じです。
「本日はお休みです」だけでは突き放した印象になりやすいため、「申し訳ございません。
山田は本日休みをいただいております。
急ぎでしたら別の者で概要を承ります」のように、次の受け皿を示せると実務的です。

折り返し提案と約束の仕方

不在時は、ただ伝言を預かるだけでなく、折り返しという次の動きまで整えることが欠かせません。
言い回しとしては、「戻りましたら、こちらから折り返しご連絡いたしましょうか」が基本形です。
相手が折り返しを希望したら、その場で必要事項を抜けなく確認します。

確認したい項目は、折り返し先、相手側の担当者名、都合の良い時間帯、緊急度です。
たとえば「お電話番号は03-xxxx-xxxxでよろしいでしょうか。
ご担当は鈴木様、折り返しは15時以降をご希望、至急のご用件ではないということで承ります」と復唱すれば、伝言の精度が上がります。
ここで復唱を省くと、番号違い、名前違い、時間帯の取り違えが起こりやすくなります。

折り返しの約束は、あいまいにしないことが肝心です。
「戻り次第」だけでは相手は待ち方が分かりません。
「17時までに戻る予定ですので、17時半ごろまでには山田からご連絡いたします」のように、目安時刻まで言葉にすると、安心感が生まれます。
約束の粒度が細かい人ほど、取り次ぎの評価は安定します。

もし担当者本人の折り返しが難しい状況なら、それも早めに伝えます。
「本日は終日外出のため、明日午前中に山田からご連絡いたします」「お急ぎであれば、代わりの者が概要を承ります」と案内すれば、相手を待たせっぱなしにしません。
取り次ぎは“つなげなかった後”の整え方で差が出ます。

OK/NG対比

取り次ぎでは、少しの言い換えで印象が大きく変わります。迷いやすい表現は、OKとNGを並べて覚えておくと、とっさの場面で迷いが消えます。

場面OKNG
担当者確認「営業部の山田太郎ですね。少々お待ちいただけますか」「山田さんですか?」
接続前「お待たせいたしました。山田におつなぎいたします」「はい、代わります」
外出中「山田はただいま外出しております。16時ごろ戻る予定です」「いません」
会議中「山田はただいま会議中です。終了後に折り返しも可能です」「出られません」
休み「山田は本日休みをいただいております」「今日休みです」
保留「少々お待ちいただけますか」無言で保留にする
長めの確認「ただいま確認しております。もう少々お待ちいただけますか」何も言わず長く待たせる
折り返し受付「折り返し先のお電話番号とご都合の良い時間帯を伺ってもよろしいでしょうか」「折り返します」だけで終える

どのOK表現にも共通しているのは、相手が次の状況を判断できる情報が入っていることです。
取り次ぎが苦手な人は、丁寧さが足りないというより、情報が足りないことが多くあります。
担当者名を復唱する、保留の前にひと言添える、不在時は理由と見込みを伝える。
この3点が揃うだけで、取り次ぎは安定します。

すぐ使える電話応対フレーズ集|受け方・かけ方・取り次ぎ別

定番フレーズは、場面ごとに丸ごと覚えると実務で使いやすくなります。
とくに新人のうちは、言い回しをその場で組み立てようとすると敬語が崩れやすいため、机上にそのまま読める短い“カンペ”を置いておくだけでも安心感が変わります。
研修でも、まずは完璧に言い換えるより、失礼なく・漏れなく・短く言える型を手元に置くほうが、応対の安定が早いです。

受電の第一声・名乗り

受電では、最初の一言で相手に「きちんとした会社だ」と伝わります。
第一声は、社名・部署名・氏名の順で、明るくはっきり言える形に固定しておくと崩れません。
使いやすい例は次の通りです。

場面例文
第一声「お電話ありがとうございます。株式会社〇〇、営業部の高橋でございます」
第一声「はい、株式会社〇〇、総務部の高橋が承ります」
第一声「お世話になっております。株式会社〇〇、高橋でございます」

名乗りのあとに、相手の情報を自然に受ける一言を添えると会話が流れやすくなります。

場面例文
名乗り後「恐れ入りますが、御社名とお名前を頂戴できますでしょうか」
名乗り後「差し支えなければ、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」
名乗り後「ご用件をお伺いいたします」

聞き返しは、謝意や配慮を先に置くと角が立ちません。聞こえなかったことをそのまま言うより、確認のために伺う形にすると丁寧です。

場面例文
聞き返し「恐れ入ります。もう一度お名前をお願いできますでしょうか」
聞き返し「申し訳ございません。会社名をもう一度お伺いしてもよろしいでしょうか」
聞き返し「確認のため、担当者名をお聞かせいただけますでしょうか」

復唱は、名前・会社名・要件・連絡先のどれにも有効です。復唱の一言があるだけで、伝言ミスや取り次ぎミスを減らせます。

場面例文
復唱「株式会社△△の佐藤様でいらっしゃいますね」
復唱「ご用件は、来週の打ち合わせ日程の件でございますね」
復唱「お電話番号は03-xxxx-xxxxでよろしいでしょうか」

終話も定番化しておくと、慌てず締められます。切り際ほど印象が残るため、短くても礼を入れるのが基本です。

場面例文
終話「お電話ありがとうございました。失礼いたします」
終話「承知いたしました。担当に申し伝えます。失礼いたします」
終話「ご連絡ありがとうございました。それでは失礼いたします」

不在・折り返し・伝言

不在対応では、事実だけを返すと冷たく聞こえます。
使いやすい順番は、お詫び、不在の案内、次の提案です。
ここはOKとNGを並べて覚えると、言い換えの癖がつきやすくなります。

場面OKNG
不在の第一声「申し訳ございません。山田はただいま席を外しております」「いまいません」
外出中の案内「申し訳ございません。山田はただいま外出しております」「外です」
会議中の案内「申し訳ございません。山田はただいま会議中でございます」「出られません」
休みの案内「申し訳ございません。山田は本日休みをいただいております」「休みです」
理由の伝え方「ただいま別件対応中で、すぐの応対が難しい状況です」「忙しいので無理です」

折り返しを提案する場合は、相手に判断材料を渡す言い方が向いています。「折り返します」だけでは情報が足りません。

場面OKNG
折り返し提案「戻りましたら、山田から折り返しご連絡いたしましょうか」「あとで電話させます」
時間帯確認「ご都合のよろしい時間帯はございますか」「いつでもいいですか」
折り返し先確認「お電話番号を確認させていただいてもよろしいでしょうか」「番号は表示されていますので大丈夫です」

伝言を預かる場面では、預かる意思をはっきり示すことが欠かせません。相手が話しやすくなるため、要件が整理されやすくなります。

場面OKNG
伝言を受ける「よろしければ、伝言を承ります」「何かありますか」
要件確認「差し支えない範囲で、ご用件をお伺いできますでしょうか」「要件は何ですか」
伝言の締め「山田に確かに申し伝えます」「伝えておきます」

実際の言い回しとしては、次の形がそのまま使えます。

「申し訳ございません。担当の山田はただいま外出しております。16時ごろ戻る予定ですが、戻り次第折り返しご連絡いたしましょうか」

「申し訳ございません。本日は会議が続いております。よろしければご伝言を承ります」

「承知いたしました。株式会社△△の佐藤様より、見積書の件でお電話をいただいた旨、山田に申し伝えます」

聞き返し・聞き取りづらい時

聞き取りづらい場面では、聞こえないことを曖昧に流さないのが基本です。
名前や数字を推測して進めると、その後のすべてがずれます。
聞き返しは失礼ではなく、正確さのための確認です。

電波が悪いと感じたときは、相手のせいにしない表現が向いています。

場面例文
電波が悪い「恐れ入ります。少々お電話が遠いようです。もう一度お願いできますでしょうか」
電波が悪い「申し訳ございません。音声が少し途切れておりますので、もう一度お伺いしてもよろしいでしょうか」
電波が悪い「聞き取りづらい箇所がございましたので、確認のため繰り返していただけますでしょうか」

周囲が騒がしいときも、雑に聞き返さず、確認対象を絞るとスムーズです。

場面例文
騒音下「恐れ入ります。ご用件の後半部分をもう一度お願いできますでしょうか」
騒音下「確認のため、日時の部分をもう一度お聞かせいただけますか」
騒音下「申し訳ございません。お名前の部分を改めてお願いできますでしょうか」

外国人名や聞き慣れない氏名は、スペル確認まで取れると実務が安定します。ここは英字の確認表現を日本語で持っておくと便利です。

場面例文
スペル確認「恐れ入ります。お名前のつづりをアルファベットでお願いできますでしょうか」
スペル確認「確認のため、スペルを一文字ずつお伺いしてもよろしいでしょうか」
スペル復唱「ありがとうございます。S・M・I・T・Hで、Smith様でいらっしゃいますね」

数字や日時の確認にも、聞き返しと復唱を組み合わせると事故が減ります。

💡 Tip

聞き返しは「謝る→どこを確認したいか示す→復唱する」の順にすると、相手に負担をかけにくくなります。

「申し訳ございません。納期の部分を確認させてください。10月15日でよろしいでしょうか」

「恐れ入ります。電話番号を復唱いたします。03-xxxx-xxxxで承っております」

担当者確認・取り次ぎ前の一言

取り次ぎでは、誰につなぐのか、いま在席しているのか、どの程度の急ぎなのかを短く整える必要があります。
相手に対して「誰宛ですか」とぶつけるより、丁寧な枠をつけて尋ねると印象が安定します。

まず、誰宛の電話かを確認する表現です。

場面例文
誰宛か確認「恐れ入りますが、どの者宛のお電話でしょうか」
誰宛か確認「担当者のお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」
誰宛か確認「ご用件はどの担当宛でいらっしゃいますでしょうか」

担当者名が分かったら、復唱してから確認に入ると行き違いが減ります。

場面例文
復唱して確認「営業部の山田太郎でございますね。少々お待ちいただけますか」
在席確認前「山田宛で承りました。確認いたしますので、少々お待ちくださいませ」
内線確認前「担当に確認いたします。いったんお待ちいただいてもよろしいでしょうか」

取り次ぎ前の一言がないと、相手は突然の無音に「切れたのでは」と不安になります。無言で保留や転送に入ると、相手は置き去りにされた印象を持ちます。

場面例文
取り次ぎ前「ただいまおつなぎいたします。少々お待ちくださいませ」
接続時「お待たせいたしました。山田におつなぎいたします」
すぐ出られない時「ただいま別の電話に出ております。確認のうえご案内いたします」

内線確認で時間がかかるときは、いったん戻って状況を伝える言い回しも持っておくと便利です。

「お待たせしております。ただいま在席を確認しております。もう少々お待ちいただけますでしょうか」

「山田の在席を確認いたしました。これよりおつなぎいたします」

架電時の挨拶と結び

架電では、受電よりも結論を先に整理しておかないと、相手は準備なしに電話を受けているため話の軸が掴めず、通話が長引きやすくなります。
相手は受ける準備がない状態で電話に出るため、あいさつ、都合確認、要件の順で短く進めると伝わりやすくなります。

最初のあいさつは、社名・氏名・要件の入口までをひと息で言える形にしておくと便利です。

場面例文
架電の第一声「お世話になっております。株式会社〇〇の高橋と申します」
架電の第一声「突然のお電話失礼いたします。株式会社〇〇の高橋でございます」
名乗り+要件入口「お世話になっております。株式会社〇〇の高橋です。ご提案の件でお電話いたしました」

都合確認は、長話を防ぐための前置きでもあります。ここを省くと、一方的な印象になりやすいのが利点です。

場面例文
都合確認「ただいま少々お時間をいただいてもよろしいでしょうか」
都合確認「今、お電話差し上げても差し支えございませんでしょうか」
折り返し確認「ご都合が悪ければ、改めてお電話いたします」

要件は結論先出しが基本です。何の電話かを先に明かすと、相手が聞く姿勢を取りやすくなります。

場面例文
結論先出し「本日は、先日お送りした見積書の件でご連絡いたしました」
結論先出し「来週の打ち合わせ日程のご相談でお電話しております」
結論先出し「納品スケジュール変更のお願いがあり、ご連絡いたしました」

終話では、相手が次に何を待てばよいかまで整えると実務的です。

場面例文
終話「本日はお時間をいただき、ありがとうございました」
終話「それでは、資料は本日中にお送りいたします。失礼いたします」
終話「ご確認のほどよろしくお願いいたします。お電話ありがとうございました」

不在で架電を終える場合も、切り方に型があります。

「かしこまりました。それでは、改めてこちらからお電話いたします」

「恐れ入ります。ご都合のよい時間帯がございましたら、お伝えいただけますでしょうか」

英語の最小限フレーズ

英語の電話は、流暢さよりも止まらずに最低限つなぐことが欠かせません。
難しい説明をしようとせず、保留、担当交代、聞き返しの3つを言えれば多くの場面はしのげます。
実務では、最初から完璧な英会話を求めるより、短い定型文を決めておくほうが混乱しません。

受電ですぐ使えるのは、次のような最小限フレーズです。

場面フレーズ
保留をお願いする“Hold on, please.”
少し待ってもらう“One moment, please.”
英語対応者につなぐ“I’ll get someone who speaks English.”
担当者確認“Who would you like to speak to?”
不在案内“He is away from his desk now.”
折り返し提案“May I have your phone number?”
聞き返し“Could you say that again, please?”
ゆっくりお願いする“Could you speak more slowly, please?”
スペル確認“Could you spell your name, please?”
終話“Thank you for calling.”

つなぎの一文まで含めると、実務で使いやすくなります。

「One moment, please. I’ll get someone who speaks English.」

「He is away from his desk now. May I take a message?」

「Could you spell your name, please?」

「Thank you for calling. Goodbye.」

英語対応に不安がある人ほど、日本語と同じように“そのまま読める定型文”を机に置いておくと落ち着きます。
電話は相手の表情が見えないぶん、言葉の型があるだけで反応速度が上がります。
受電、取り次ぎ、架電のそれぞれで2〜3本ずつ、自分の職場に合う文面を決めておくと、緊張する場面でも崩れにくくなります。

電話対応のNG例と注意点|言葉遣い・個人情報・保留のミス

不自然敬語・二重敬語のNG集

電話では、丁寧に話そうとする意識が強いほど、不自然敬語や二重敬語が混じりやすくなります。
問題なのは、丁寧さが増すことではなく、聞き手に引っかかりを与えてしまうことです。
言い回しが不自然だと、内容そのものより言葉の違和感が先に残ります。

典型的なのが、「〜のほう」「よろしかったでしょうか」「〜でよろしかったですか」といった表現です。
いずれも職場で耳にしやすい言い回しですが、電話応対では避けたほうが無難です。
たとえば「ご用件のほうをお伺いしてもよろしかったでしょうか」は、遠回しで不自然です。
素直に「ご用件をお伺いしてもよろしいでしょうか」で十分に丁寧です。

言い換えは次のように考えると整いやすくなります。

NG言い換え
「お名前のほうをいただけますか」「お名前を伺ってもよろしいでしょうか」
「担当の者でよろしかったでしょうか」「担当は〇〇でお間違いないでしょうか」
「ご用件でよろしかったですか」「ご用件をお伺いしてもよろしいでしょうか」
「お伺いさせていただきます」「伺います」
「お聞きになられましたか」「お聞きになりましたか」

「もしもし」も注意が必要です。
聞こえづらいときの確認として使う場面はありますが、ビジネスの第一声として繰り返すと、私的な電話の響きが強くなります。
受電直後は社名・部署名・氏名を名乗るほうが、相手は安心して会話に入れます。
「もしもし、もしもし」と重ねるほど、落ち着きのない印象にもつながります。

同じ理由で、タメ口や相づちの多用も避けたいところです。
「うんうん」「はいはい」「なるほどですね」は、会話のテンポは出ても、相手によっては軽く受け止められます。
電話では表情が見えないぶん、相づちの質が低いと、内容を理解しているかどうか相手に不安を与えます。
「はい」「かしこまりました」「承知いたしました」のように、短くても格が保てる言葉を選ぶほうが安全です。

敬語は飾るほど良くなるものではありません。電話では、過剰に丁寧な言い回しより、自然で正確な敬語を安定して使うことのほうが評価されます。

保留・沈黙のミスと対処

保留で失敗しやすいのは、長さそのものよりも、何も言わずに待たせることです。
担当者確認や資料確認のために時間が必要になるのは珍しくありませんが、その前にひと言あるかどうかで相手の受け止め方は大きく変わります。

実務でも、保留に入れる前の説明がないだけで不満が一気に高まる場面はよく見られます。
担当者を呼びに行くつもりで受話器を置いた側には短い時間でも、相手には「切られたのか」「忘れられたのか」がわからない沈黙になります。
とくに代表電話では、その無言の数十秒が会社全体の印象を下げます。

保留前には、目的と見込みをひと言で伝えるのが基本です。
たとえば「担当者を確認いたしますので、少々お待ちいただけますか」と言ってから保留に入るだけで、待つ理由が相手に伝わります。
無言で保留ボタンを押すのは避けるべき典型例です。

長時間保留も避けたいミスです。
すぐ戻れないときは放置せず、中間報告を入れます。
電話応対では、30秒を超えるなら一度戻るという意識を持つと運用しやすくなります。
型は難しくありません。

「お待たせしております。確認にもう少々お時間をいただいております」

「担当者が席を外しております。確認を続けますので、このままお待ちいただくか、こちらから折り返しも可能です」

この一言があるだけで、相手は待つか、折り返しに切り替えるかを判断できます。
保留時間を短くする努力はもちろん必要ですが、実務では短縮できない場面もあります。
そのときに差が出るのは、待たせないことではなく、待たせ方を雑にしないことです。

沈黙そのものも要注意です。
保留を使わずに社内で会話したり、受話器越しに「誰だった?」「営業の件らしいです」とやり取りしたりすると、相手に聞こえてしまうことがあります。
保留操作は単なる機能ではなく、情報管理と印象管理の両方に関わる基本動作です。

確認不足をなくすチェックポイント

電話のミスは、話し方より確認不足から起こることが少なくありません。
用件を理解したつもりでも、名前、折り返し先、要件の要約が抜けていると、あとで担当者に渡せません。
取り次ぎができても、情報が足りなければ実務としては不十分です。

聞き漏れを防ぐには、毎回同じ順序で確認するのが効果的です。
受電では、少なくとも次の3点のどれかが抜けると、担当者への引き継ぎで情報が欠け、折り返しの対応が遅れます。

  1. 相手の氏名と会社名
  2. 折り返し先の電話番号
  3. 要件の要約

ここで役立つのが、前述の受電メモの型です。
現場では、自由に書かせるより、項目が決まっているメモのほうが抜け漏れを減らせます。
とくに名前と電話番号は、聞いたつもりでも記録が曖昧になりやすい部分です。

ℹ️ Note

名前は「恐れ入りますが、お名前をもう一度お願いいたします」、電話番号は「復唱いたします」と確認を入れると、聞き間違いを防げます。

要件確認では、相手の話をそのまま長く書き取ろうとすると、書くことに意識が向いて聞き漏れが起きやすくなります。
電話中は全文メモを目指すより、一文で要件を要約するほうが後工程で使いやすくなります。
たとえば「見積書の送付時期について確認」「来週の打ち合わせ日程変更希望」といった形です。
担当者に渡す情報は、長く書いても即読性が低ければ、担当者が読み返す時間が増え、折り返しが遅れます。

また、折り返しが必要な場面で「お電話番号は表示されていますので大丈夫です」と済ませるのも危険です。
表示番号が代表番号とは限らず、部署直通や携帯、折り返し希望時間が別にあることもあります。
表示に頼らず、口頭で確認して記録するのが確実です。

確認は、相手を疑うためではなく、仕事を止めないために行うものです。丁寧な復唱は、ミス防止と信頼感の両方に効きます。

個人情報と録音の配慮

電話対応では、氏名や電話番号だけでなく、通話内容そのものが個人情報に当たり得ます。
つまり、受電メモも録音データも、単なる業務メモとして雑に扱ってよいものではありません。

注意したいのは、個人情報の安易な伝達です。
たとえば、折り返し先の番号や問い合わせ内容を、関係のない部署や社外の相手にそのまま共有するのは不適切です。
社内であっても、業務上必要な範囲を超えて広げないことが原則になります。
電話番号をチャットに気軽に貼る、机上のメモを放置する、会話内容を周囲に聞こえる形で話すといった行為も、実務上は軽視できません。

録音の扱いにも配慮が必要です。
通話録音は品質向上、教育、応対確認などに有効ですが、録音の有無、案内文、利用目的、保存期間は個社の運用に委ねられる部分があります。
ここで押さえたいのは、法令上一律の告知義務があると断定しないことです。

そのため実務では、自動音声や冒頭案内で「この通話は品質向上のため録音させていただく場合がございます」といった一文を入れる運用が広く使われています。
これは法的な定型文というより、透明性とプライバシー配慮のための実務上の工夫です。
加えて、録音データの保管先、閲覧権限、保存期間、開示対応の窓口まで含めて、社内規程に沿って扱う必要があります。

電話応対の品質は、話し方だけでは決まりません。情報をどう守るかまで含めて、はじめて信頼に値する応対になります。

コラム:スクリプト活用のコツ

電話応対の品質を安定させる方法として、スクリプトは有効です。
第一声、保留前のひと言、不在案内、折り返し確認の文面をあらかじめ決めておくと、担当者ごとのばらつきが減ります。
新入社員の教育ではとくに効果が大きく、緊張しても最低限の型を崩しにくくなります。

実際、電話応対の技能が重視される場は広く、2025年度の第64回電話応対コンクール全国大会には5,839名が参加しています。
これだけ多くの人が応対品質を磨いている背景には、電話が今も企業印象を左右する接点であるという現実があります。
スクリプトは、その品質を個人技にしないための道具です。

ただし、読み上げるだけでは不十分です。
相手の要件が想定外にずれた瞬間、台本どおりの受け答えはかえって不自然になります。
たとえば、担当者不在のスクリプトはあっても、相手が急ぎかどうか、折り返しを望むかどうかで返し方は変わります。
定型文は骨組み、応対は運用と考えると使いやすくなります。

使い方のコツは、全文スクリプトよりも「場面別の短文」を持つことです。
保留前、聞き返し、復唱、不在案内、終話の5場面だけでも定型化すると、現場での再現性が上がります。
言い回しを固定しすぎず、必要事項だけ外さない設計にすると、新人教育にもなじみます。

電話応対では、上手な人の話し方をまねるだけでは品質が安定しません。
誰が出ても失礼がなく、必要情報が抜けず、保留や録音の扱いにも配慮できる状態を作るには、スクリプトと柔軟対応の両立が欠かせません。

電話メモ・伝言メモの書き方

必須項目のチェックリスト

電話メモ・伝言メモの役割は、電話を受けた人の記憶を補うことではなく、担当者がその場にいなくても次の行動に移れる状態を作ることです。
取り次ぎ後の共有ミスは、文章が下手だから起きるのではありません。
必要項目が一つでも欠けることで起きます。

研修現場で特に多かったのが、日時・折り返し先・要件の三点抜けです。
本人は「ちゃんと聞いたつもり」でも、いざ担当者に渡す段階で「いつの電話か」「どこに折り返すのか」「何の件か」が欠けていると、実務ではほぼ使えません。
そこで、自由記述ではなく項目固定のテンプレートを常備すると、記録の質が一気に安定しました。
教育の場でも、話し方の練習以上にメモ欄の型を揃えたときの改善幅が大きかった印象があります。

最低限、次の項目は一式で残します。

  • 相手の会社名
  • 相手の部署名
  • 相手の氏名(ふりがな)
  • 受電日時
  • 要件の要約
  • 折り返し要否
  • 希望時間帯
  • 連絡先(電話番号、必要があればメール)
  • 自社の担当者名(誰宛ての電話か)
  • 受電者名(誰が受けたか)

このとき、要件を長く書きすぎると、担当者が全体像をつかむまでに時間がかかり、折り返しの初動が遅れます。
「見積書送付時期の確認」「納期変更の相談」「打ち合わせ日程再調整」のように、一文で判別できる形にします。
担当者はまず全体像を短時間で把握したいので、逐語録よりも即読性の高い要約のほうが役に立ちます。

💡 Tip

氏名欄にふりがなを入れる運用は地味ですが効果的です。折り返し時の呼称ミスを防ぎやすく、社内で別の人が対応するときも迷いません。

テンプレート例

実務では、毎回ゼロから書くより、見出し付きの定型メモをそのまま使える形で置いておくほうが確実です。
紙でもチャット下書きでも構いませんが、記入順が固定されていないと、メモを読む側が項目を探し回ることになり、伝達の精度が落ちます。
以下の形なら、そのままコピーして運用しやすくなります。

電話メモ・伝言メモ

  • 受電日時:
  • 相手会社名:
  • 相手部署名:
  • 相手氏名(ふりがな):
  • 連絡先:
  • 自社担当者名:
  • 要件:
  • 折り返し要否:
  • 希望時間帯:
  • 補足事項:
  • 受電者名:

記入例

  • 受電日時:4月12日 10:35
  • 相手会社名:株式会社青葉商事
  • 相手部署名:営業企画部
  • 相手氏名(ふりがな):田中 恒一(たなか こういち)様
  • 連絡先:03-1234-5678
  • 自社担当者名:営業部 山田 太郎
  • 要件:見積書の送付時期について確認
  • 折り返し要否:要
  • 希望時間帯:15時以降
  • 補足事項:本日中に回答希望
  • 受電者名:佐藤

このテンプレートの利点は、担当者が見た瞬間に「誰から・何の件で・どう返すか」が分かることです。
とくに、折り返し要否と希望時間帯を独立した欄にしておくと、「連絡先はあるが、いつ返せばよいか分からない」という停滞を防げます。

聞き取り精度を上げるコツ

たとえば電話番号なら、一気に読み上げ返すより区切って確認したほうが正確です。
氏名も「田中様でいらっしゃいますね」だけで済ませず、難読名や同音異字がありそうな場合はふりがなまで確認すると事故が減ります。
聞き取れなかったときに曖昧なまま進めると、折り返し連絡で別人に電話してしまう事故につながります。
スペル確認や数字の一桁読みで確かめるだけで、誤記は防げます。

実際の確認では、次のような考え方が有効です。

  • 数字は区切って復唱する
  • 固有名詞はゆっくり確認する
  • 聞き取れない場合は、スペルや数字の一桁読みで確認する
  • 社内だけで通じる略語は使わない

略語を避けるのは、受電者以外が読んでも意味が分かる状態にするためです。
たとえば「MTG変更」「見積再送」「至急コール」といった書き方は、書いた本人には通じても、共有先では解釈がぶれます。
電話メモは自分用の走り書きではなく、他者が引き継ぐ前提の業務記録です。
誰が見ても同じ理解に着地する表現に揃えることが欠かせません。

社内共有の運用ヒント

伝言メモは、書けていても届かなければ意味がありません。
共有ミスの多くは、書式より運用で起きます。
紙に書いて机に置いた、チャットに送ったつもりで担当者が見ていなかった、CRMへ入力したが紙も残っていて内容が食い違った、といったずれが典型です。

まず決めておきたいのは、メモの置き場所を一つに固定することです。
紙運用なら所定のトレーや担当者ボックス、デジタル運用ならチャットの専用チャンネルやCRMの所定項目など、保管先を迷わせない設計が必要です。
人によって置き場所が違う状態は、それだけで伝言漏れの温床になります。

また、チャットやCRMに入力する場合は、受電直後の入力を原則にすると記憶頼みを避けられます。
ここで注意したいのは、紙とデジタルの二重運用を中途半端にしないことです。
たとえば紙に書いたあと、あとでCRMに転記する運用だと、片方だけ更新されるズレが起こりやすくなります。
二重管理をするなら「一次記録は紙、確定版はCRM」「紙は当日中に回収」など、どちらを正本にするかを明確にしておく必要があります。

担当者不在時の共有でも、誰宛ての電話かが埋もれないように、自社担当者名をメモの上部に置くと実務で扱いやすくなります。
受電者名も必須です。
後で補足確認が必要になった際に、誰に聞けばよいかがすぐ分かるからです。
伝言メモは単なる記録ではなく、社内の引き継ぎを止めないための小さな業務設計だと考えると、運用の粗さがそのままミスになる理由が見えやすくなります。

補足|品質向上の考え方とIVR・教育・評価の豆知識

電話応対教育はなぜ続くか

電話応対は、マニュアルを配って終わる種類の業務ではありません。
理由は明快で、同じ「正しい言い方」を知っていても、相手の話す速さ、要件の曖昧さ、感情の強さ、不在時の引き継ぎなど、実際の電話では毎回条件が変わるからです。
知識だけでは足りず、反射的に使えるレベルまで整える必要があります。

その傾向は、応対教育が今も広く重視されている事実からも見えてきます。
2025年度の第64回電話応対コンクール全国大会では、参加者数が5,839名でした。
これだけの人数が参加しているのは、電話応対がいまだに企業の基礎技能として扱われていることの表れです。
メールやチャットが増えても、代表電話や一次受けの品質が会社全体の印象を左右する構図は変わっていません。

現場で差が出やすいのは、スクリプトの有無そのものより、スクリプトをどう運用するかです。
定型フレーズを整えるだけでは、想定外の言い回しに弱くなります。
逆にOJTだけに寄せると、教える人の癖がそのまま広がり、受け答えが属人化しやすくなります。
実務で安定しやすいのは、第一声、本人確認、保留、折り返し案内のような共通部分はスクリプトで固め、そのうえで聞き返し方や言い換えをロールプレイで補う形です。

実際、受電品質が安定している現場ほど、紙や画面に残る短い定型文と、横で聞いて修正するOJTがセットで回っています。
たとえば新任者には「名乗る」「要件を切り分ける」「復唱する」までを先に型として入れ、細かな言い回しは先輩が同席して整える運用です。
この組み合わせだと、誰が教えるかで基礎品質がぶれにくく、しかも現場の言葉に合わせて自然な応対へ育てやすくなります。
属人化を防ぐという意味では、完璧な台本を作ることより、共通の骨組みを持ったうえで観察と修正を続けるほうが効果的です。

KPIの目安(参考)と注意点

NTTマーケティングアクトProCXでよく参照される代表的な目安(参考値)としては、応答率90%以上、放棄呼率5%以下、AHT(平均処理時間)300〜360秒、FCR(一次解決率)70〜80%、CS(顧客満足度)80%以上といった数字が挙げられます(出典: NTTマーケティングアクト ProCX)。
ただし、これらは主にコールセンター運用向けの一般的な目安であり、代表電話や一般企業の業務特性とは異なる点が多いため、自社の問い合わせ内容や目的に合わせて指標を設定することをおすすめします。
見方として実務的なのは、絶対値よりも「自社でどこが詰まっているか」を読むことです。
応答率が落ちるならピーク時間帯の体制に問題があるかもしれませんし、放棄呼率が高いなら待ち時間案内や振り分けの設計を見直す余地があります。
FCRが低い場合は、一次受けで聞くべき項目がそろっていない、あるいは担当部署への接続条件が曖昧ということもあります。
数字は評価のためというより、改善の起点として使うと機能しやすくなります。

ℹ️ Note

代表電話の品質は、個人の話し方だけでなく「誰が、どの要件を、どこへつなぐか」という設計で変わります。教育とKPIは別物ではなく、同じ業務を違う角度から見ていると考えると整理しやすくなります。

IVR・一次応対の役割

IVRは、着信時に自動音声で案内し、プッシュ操作や入力内容に応じて振り分ける仕組みです。
時間外案内、営業時間案内、よくある問い合わせの一次切り分けに向いており、人が出なくても最低限の導線を整えられる点が強みです。
代表電話に人手を張り付けにくい時間帯ほど、一次応対の価値が見えやすくなります。

有効なのは、すべてを自動化することではなく、人が対応すべき電話と自動で処理できる電話を分けることです。
たとえば、営業時間、アクセス、採用窓口、請求関連の担当先のように、繰り返し発生する案内はIVRで整理しやすい領域です。
こうした定型着信を先に受け止めるだけでも、有人対応はより必要度の高い要件に集中しやすくなります。
設計がかみ合うと、一次受けの混雑がやわらぎ、結果として応答率の改善につながる場面は少なくありません。

一方で、IVRは入れただけでは良くなりません。
運用で重要なのは、問い合わせ統計を見ながら定期的にメニューを見直すことです。
実務では、よく押される番号、途中離脱が多い分岐、最終的に有人へ流れ直す比率を見るだけでも、設計の粗さが見えます。
問い合わせの山が変われば、案内順や文言も変える必要があります。
深い階層を作りすぎると迷わせやすいため、選択肢は浅く、聞いた瞬間に意味が分かる表現に寄せるのが基本です。

Research Summary によるIVRyの料金例は参考値として提示されています(例示: 基本料金 月額2,980円、スタータープラン合計 月額4,480円)。
価格表記は税抜/税込やプラン構成の変更があり得るため、導入を検討する際はIVRyの公式ページで最新版の料金・仕様を必ず確認してください。

多言語・英語一次案内の考え方

多言語対応というと大がかりに見えますが、代表電話の一次案内では、まず最小限の分岐設計から始める考え方が現実的です。
実務では、日本語を最初に流し、その後に英語へ分岐させる構成がよく使われます。
利用者の比率によっては、英語の次に中国語などを追加する設計もありますが、言語数を増やすこと自体より、言語数を増やしても、分岐が複雑になって担当先へたどり着けなければ、かえって離脱が増えます。

英語一次案内で必要なのは、長い説明文ではありません。
営業時間、担当部署への接続、緊急連絡先の有無といった、頻出情報を短く伝えるだけでも十分に機能します。
たとえば「For English, press 2.」のような分岐案内と、担当者不在時の簡潔な受け答えがあるだけで、現場の混乱は減ります。
英語対応者が限られている職場では、全員に流暢さを求めるより、最小限の共通フレーズを共有したほうが運用しやすくなります。

ここでも、属人的な対応にしない設計が効きます。
英語が得意な一人に任せきりだと、その人の不在時に一次応対が止まりやすくなります。
代表電話では、「英語話者からの入電時に誰へ回すか」「つながらない場合は何を聞き取るか」「折り返しの伝え方をどうそろえるか」まで決めておくと、現場の負担が一気に下がります。
多言語対応は高度な接客スキルの問題というより、一次案内の導線設計として捉えると組み立てやすくなります。

まとめ|電話対応チェックリスト

実務で迷わない電話対応は、受電・架電・取り次ぎの型を分けて持つことから安定します。
受電では第一声、復唱、メモ、保留、静かな終話までを一連で確認し、架電では要件整理、相手の都合確認、結論先出し、次のアクション明確化を外すと、通話後に「結局何をすればよいか」が双方で曖昧になります。
取り次ぎでは担当者名の復唱、保留中の中間報告、不在時の「お詫び→理由→折り返し提案」を崩さず、伝言メモは会社名・氏名・日時・要件・折り返し要否・連絡先・受電者名の7点を必ず残します。

研修では、朝一番にこのチェックリストを声に出して読むだけで、初日からの不安が和らぎやすくなります。
迷った場面では、無理に話を進めず、復唱・確認・折り返しを優先し、個人情報や録音に関わる判断は社内規程に従うのが実務的です。
着手するなら、自社電話機の保留・転送操作、第一声と不在時フレーズ、伝言テンプレート、案内可能な情報範囲、英語の最小フレーズを先にそろえておくと現場でぶれません。

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高橋 誠一

大手商社での総合職15年を経てビジネスマナー研修講師に転身。名刺交換から国際儀礼まで、実践的なビジネスマナーを指導します。

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