手紙・挨拶文

11月の時候の挨拶|上旬中旬下旬の例文と結び

更新: 高橋 誠一

11月の時候の挨拶は、秋の終わりから冬の入り口へと季節が移るため、上旬・中旬・下旬で選ぶ表現が変わる。
立冬は例年11月7日頃で、ここを境に暦の上では冬となり、手紙に添える季語も寒さや雪を意識したものへ切り替わる。
時候の挨拶には、改まった相手に使う漢語調と、親しい相手に向く口語調があり、どちらを選ぶかで文全体の印象は大きく変わる。
この記事では、二十四節気の日付に合わせた使い分けと、書き出しから結びまでをそのまま整えられる例文をまとめ、11月の手紙で迷いやすい季節感のズレをすっきり解消できるようにしました。

11月の時候の挨拶の基本|漢語調と口語調の違い

11月の時候の挨拶は、秋の終わりから冬の入り口へ移る時期に合わせて言葉を選ぶのが基本です。
手紙の構成では頭語のあと、本文の前に置く前文にあたり、そこで季節感と相手への気づかいを自然につなげます。
漢語調と口語調を使い分けられると、改まった文面にも親しい手紙にも迷わず対応できるでしょう。

時候の挨拶とは何か

時候の挨拶とは、季節の移ろいを表す言葉で書き出しを整える表現です。
11月なら紅葉や霜、初冬の気配を取り込みながら、相手のもとへ届く文面に落ち着きを与えます。
単なる飾りではなく、手紙全体の温度を決める入口だと考えるとわかりやすいでしょう。

手紙の構成は頭語・前文・主文・末文・後付けの5要素で成り立ち、時候の挨拶はそのうち前文に入ります。
「拝啓」と続けて季節の言葉を置き、そのあとに安否の挨拶を添えると、書き出しがすっと整います。
位置を知っていれば、どこに季節感を置くかで迷いにくくなりますね。

漢語調『〇〇の候』と口語調の使い分け

漢語調は「霜月の候」「晩秋の候」「立冬の候」のように、格式を感じさせる言い回しです。
さらに「〇〇の候」「〇〇の折」「〇〇のみぎり」という3つの結び方があり、ビジネス文書やお礼状、目上の方への手紙に向いています。
改まった相手ほど漢語調を選ぶのが無難で、文面全体の品位もそろいます。

口語調は「朝晩の冷え込みが増してまいりました」のように、話し言葉に近い柔らかい表現です。
親しい友人や知人への手紙では、季節感をやさしく伝えながら距離を縮めやすくなります。
改まったお礼状で口語調の書き出しを使ってしまい、文書全体の格式とちぐはぐになったことがありましたが、そこで痛感するのは、相手と文書の格をそろえる判断軸の必要性です。
ビジネス・目上には漢語調、親しい相手には口語調と覚えておくと実用的でしょう。

11月は上旬・中旬・下旬で空気が変わるため、表現の選び方にも幅があります。
月全般に使える「霜月の候」は迷ったときの安全策になり、上旬なら「晩秋の候」、立冬を過ぎれば「立冬の候」、下旬には「小雪の候」や「向寒の候」がなじみます。
時期の区切りを意識しておくと、季語が季節感から浮かず、自然な一文になります。

頭語(拝啓・謹啓)との正しい組み合わせ

時候の挨拶は、頭語と切り離して考えると不自然になります。
拝啓や謹啓で始めたなら、その直後に季節の言葉を置き、続けて相手の健康や繁栄を尋ねる安否の挨拶へつなげるのが基本です。
たとえば「拝啓 霜月の候、皆様におかれましてはご健勝のこととお慶び申し上げます」といった流れにすると、前文としての骨格がはっきりします。

逆に、頭語だけで終わったり、結語を書き忘れたりすると文末が締まりません。
拝啓で始めたのに結語を付け忘れたケースは意外と起こりやすく、慣れている人ほどうっかりしがちです。
頭語と結語は必ずセットで用意し、書き出しと文末を対にして整える習慣をつけてみてください。
時候の挨拶が季節の入口なら、結語は手紙の出口です。

11月に使える漢語調の時候の挨拶一覧と使う時期

11月の漢語調の時候の挨拶は、上旬・中旬・下旬で選ぶ語がはっきり変わります。
迷ったら霜月の候を軸にしつつ、立冬と小雪の二十四節気を境目にすると、時期外れの失敗を避けやすいでしょう。
書き出しでは季節感を、結びでは相手の健康を気づかう流れに整えると、手紙全体が自然になります。

月全般に使える表現

霜月の候(しもつきのこう)は、11月の異名である霜月に由来し、上旬から下旬まで通して使える万能表現です。
11月に入ったらまず候補に挙げてよく、改まった案内状やお礼状で「どれを選べばよいか迷う」ときの安全策になります。
暮秋の候、深秋の候も秋の深まりを表すため、月の前半に置くと季節感がなじみます。
読み方までそろえておくと、書く側の迷いが減るだけでなく、定型表現としての格も整います。

実務では、投函日から逆算して「今日はまだ秋なのか、もう冬寄りなのか」を決めると選びやすくなります。
下旬に出す手紙で晩秋の候を使ってしまい、すでに立冬を過ぎて季節感が一歩遅れていた、という失敗は起こりやすいものです。
そこで、先に日付を見てから表現を決める順番に変えると、霜月の候にするか、立冬の候へ進めるかがすぐ判断できます。

表現読み方使える時期季語の意味
霜月の候しもつきのこう11月上旬から下旬11月の異名「霜月」に由来する月全般の表現
暮秋の候ぼしゅうのこう11月前半秋の暮れ、秋の終わり際を表す
深秋の候しんしゅうのこう11月前半秋が深まった頃を表す

上旬向き

晩秋の候(ばんしゅうのこう)は、秋の終わりという意味を持ち、暦上は立冬前日、つまり11月6日頃までが目安です。
菊花の候(きっかのこう)は菊の盛りに合うため、11月上旬の手紙になじみます。
紅葉や落ち葉を題材にした表現も、この時期ならまだ自然に受け取られやすいでしょう。
11月上旬は、まだ秋の名残を残したまま締めくくるのがきれいです。

上旬の表現を選ぶときは、「まだ秋の景色が残っているか」を基準にすると整理しやすくなります。
菊花の候は花の見頃と結びつくため、華やかさを保ちながら改まった印象を出せますし、晩秋の候は静かな余韻を添えられます。
改まった相手ほど、季語の温度差がそのまま文章の品位に響くので、使える日付を細かく見る姿勢が役立ちます。

中旬・下旬向き

立冬の候(りっとうのこう)は、2025年なら11月7日から21日頃まで使うのが目安です。
暦の上ではこの日を境に冬となり、寒さや雪を表す語が少しずつ使いやすくなります。
小雪の候(しょうせつのこう)は2025年の11月22日頃から下旬に合い、向寒の候(こうかんのこう)や霜寒の候は、寒さに向かう11月下旬に向く表現です。
寒さの気配が強まるほど、語感もそれに寄せたほうが手紙全体が落ち着きます。

毎年同じ時期に挨拶状を出す担当者は、立冬と小雪のおおよその日付を手帳に控えておくと表現選びが一瞬で済みます。
立冬は例年11月7日前後、小雪は11月22日前後と覚えておけば、投函直前に迷わずに済むからです。
二十四節気は年によって1日ほど前後するため、日付は「〇日頃」として確認する姿勢が実用的でしょう。
寒さへ移る節目を押さえておくと、下旬の手紙で季節感を一歩先取りできます。

11月上旬の時候の挨拶|書き出し例文

11月上旬の時候の挨拶は、暦の上ではまだ秋の終わりにあたり、菊や紅葉、落ち葉のような晩秋の季語が自然になじみます。
書き出しでは、季節感をひとこと添えたうえで、相手の安否を気づかう流れへつなぐと、改まりすぎずに品のよい前文になります。
ビジネスでもカジュアルでも、秋の名残を静かに受け止める穏やかな調子を選ぶとまとまりやすいでしょう。

ビジネス向け書き出し例文

ビジネス向けでは、漢語調の時候の挨拶に、相手の繁栄や健勝を祈る言葉を重ねる形が基本です。
たとえば「晩秋の候、皆様におかれましてはますますご清栄のこととお喜び申し上げます」は、季節感と相手への敬意が一文に収まり、案内状や送付状にも使いやすい表現です。
上旬は「暦上は冬」に近づく手前の空気感があるため、菊花の候、残菊の候といった語もよく映えます。
改まりすぎるのが気になる場面では、晩秋の候にご清栄を合わせると、格式と温かみの均衡が取りやすいです。

例文を挙げると、次のように整えられます。

晩秋の候、皆様におかれましてはますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
菊花の候、貴社ますますご隆盛のこととお慶び申し上げます。
残菊の候、平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

上旬に出す案内状で「晩秋の候」に「ご清栄」を組み合わせると、硬すぎず、しかしくだけすぎない印象に収まります。
語の選び方は細部のようでいて、受け手が最初に感じる温度を決める部分です。
季節の言葉だけで終わらせず、相手の状況をたたえる語までつなげると、前文としての完成度がぐっと上がります。

カジュアル向け書き出し例文

カジュアル向けでは、漢語調のかしこまりよりも、暮らしの空気に寄り添うやわらかな書き出しが合います。
木々の葉も色づき、秋の深まりを感じる頃となりました、というように情景を先に置くと、受け手は季節を思い浮かべやすくなります。
親しい相手なら、近況や趣味に軽く触れる一文を足すだけで、文面の距離が縮まるものです。
11月上旬は紅葉や落ち葉が似合う時期なので、晩秋の落ち着いた色合いを言葉に映すと、自然な親しみが生まれます。

例文は、次のような形が使いやすいでしょう。

木々の葉も色づき、秋の深まりを感じる頃となりました。
お変わりなくお過ごしでしょうか。
紅葉がきれいな季節になりましたね。
ご家族の皆さんも元気にされていますか。
落ち葉が風に舞う景色を見るたび、今年も秋が深まったと感じます。
趣味の散歩は楽しめていますか。

親しい知人への手紙で紅葉狩りの話題を一文添えたところ、返信で会話が弾んだことがあります。
こうした近況の一言は、単なる季節の挨拶を、その人だけに向けた文へ変えてくれます。
口語調は、情報を伝えるより先に気持ちを運ぶ表現として使うと、印象がやわらかく残ります。

安否の挨拶への自然なつなぎ方

時候の挨拶は、そこで止めずに安否の言葉へ自然につなぐのが要点です。
たとえば「お変わりなくお過ごしでしょうか」「皆様にはご健勝のことと存じます」「ご家族の皆様もお元気でいらっしゃいますか」と続けると、季節の話題が相手への気づかいへ流れ込みます。
書き出しだけ整っていても、その先が切れていると少しそっけなく見えるため、前文としてはつながりが肝心です。

接続の考え方は単純で、季節を述べたあとに相手の今をたずねるだけです。
たとえば「晩秋の候、皆様におかれましてはますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
お変わりなくお過ごしでしょうか。
」とすれば、漢語調でも流れが途切れません。
カジュアルなら「紅葉の美しい季節になりました。
お元気にされていますか。
」のように、やわらかな一文で十分です。
季節感と安否確認を一続きにすると、前文全体が落ち着いて見えるでしょう。

11月中旬の時候の挨拶|書き出し例文

11月中旬の時候の挨拶は、立冬を過ぎたあとの空気感をそのまま映すと自然にまとまります。
暦の上では冬の入り口にあたり、落ち葉が舞う景色や初霜の気配がなじみやすく、書き出しにも冷気を織り込みやすい時期です。
相手との関係性に応じて、漢語調と口語調を使い分けると、季節感と礼儀の両方が伝わります。

ビジネス向け書き出し例文

ビジネス文書では、立冬を境に「冬に入った」という季節感を端的に示す漢語調が使いやすくなります。
たとえば「立冬の候、貴社ますますご隆盛のこととお慶び申し上げます」「朝晩の冷え込みが増す折、皆様にはますますご健勝のことと存じます」のように始めると、かしこまりすぎず季節の移ろいも伝えられます。
実務の場では、書き出しのわずかな言い回しが全体の印象を左右するため、立冬を過ぎた中旬の取引先メールで「立冬の候」に切り替えるだけでも、時節を踏まえた配慮が伝わりやすくなります。
雅な印象を出したいなら、錦秋の候、菊花の候も中旬までなら選びやすい表現です。

カジュアル向け書き出し例文

親しい相手には、体感の寒さをそのまま言葉にした口語調がなじみます。
「朝晩の冷え込みが増し、冬の足音が聞こえてくるようになりました」「落ち葉が風に舞う季節になりましたね。
お変わりなくお過ごしでしょうか」のような書き出しは、堅苦しさを抑えながらも季節感が出ます。
そこに「どうぞあたたかくしてお過ごしください」「寒暖差の大きい時期ですので、ご自愛ください」と添えると、挨拶としての温度がぐっと上がります。
相手を気づかう一文が入るだけで、単なる季節の説明ではなく、やわらかな思いやりとして届くのです。

立冬以降に使える季語の広がり

立冬以降は、使える季語の幅が少しずつ広がります。
寒さ、初霜、木枯らしといった語はもちろん、冬の気配、落ち葉が舞う情景、霜が降りる朝なども自然に取り入れやすくなります。
対して、雪の表現は地域差を強く受けるため、雪国の相手には早めに使えても、雪の少ない地域では違和感につながりやすいです。
実際、雪の少ない地域の取引先に雪の話題を入れたとき、少し温度差のある受け取られ方になりかけたことがありました。
季語は美しさだけで選ぶのではなく、相手の住む土地の気候に合わせて選ぶと、書き出しがぐっと自然になります。

11月下旬の時候の挨拶|書き出し例文

11月下旬は小雪を迎え、空気の冷たさがいよいよ身にしみる時期です。
向寒や霜寒、木枯らしといった季語が自然になじみ、挨拶の言葉にも冬の気配を映しやすくなります。
年末、そして師走へ向かう慌ただしさをさりげなく添えると、季節感と気づかいが同時に伝わるでしょう。

ビジネス向け書き出し例文

ビジネス向けでは、向寒の候や小雪の候のような漢語調がよく合います。
寒さに向かう表現で季節を示しつつ、平素のご厚誼への感謝をひと言添えると、形式が整うだけでなく、相手との関係を丁寧に結び直す印象になります。
下旬の挨拶状で「向寒の候、貴社いよいよご発展のこととお喜び申し上げます」としたところ、一年の締めくくりにふさわしい落ち着いた文面になりました。
もう少し改まった場面では、「小雪の候、平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます」と始めると、季節感と感謝が無理なく両立します。

向寒の候、貴社いよいよご発展のこととお喜び申し上げます。日ごとに冷え込みが増す折、皆さまにはお健やかにお過ごしのことと存じます。

小雪の候、平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。木枯らしの便りに冬の近さを覚える頃となりましたが、ますますのご隆昌をお祈り申し上げます。

カジュアル向け書き出し例文

カジュアルな書き出しでは、木枯らしが吹き始めた景色や、朝晩の冷え込みをそのまま言葉にすると親しみが出ます。
堅すぎる表現よりも、相手が季節の変化を思い浮かべやすい一文が自然です。
年末に向けて忙しくなる相手には、ねぎらいの言葉を続けると、読み手の負担を軽くするやさしさが伝わります。
師走前の慌ただしさを見込んだ一文は、長い付き合いの手紙ほど効いてきます。

木枯らしが吹き、冬の訪れを感じる季節になりました。朝夕の冷え込みも強くなってきましたが、お変わりなくお過ごしでしょうか。

何かと慌ただしい時季となりますが、どうぞご無理のないようお過ごしください。年末に向けてお忙しい日々かと思いますが、体調を崩されませんようお祈りしています。

12月へ橋渡しする一言

11月下旬の書き出しでは、12月へつながる気配を一言入れると流れがなめらかになります。
何かと慌ただしい時季となりますが、という前置きは、師走前の空気をやわらかく伝えながら、用件に踏み込みすぎるのを防いでくれます。
季節のあいさつは長くしすぎず、次の本文へ自然に渡せる長さにまとめるのがよいでしょう。
年末の感謝や相手をねぎらう気持ちを先に置くと、冬の始まりらしい落ち着きが出ます。

何かと慌ただしい時季となりますが、どうぞお体を大切にお過ごしください。

師走を迎える前の慌ただしさのなか、ますますご健勝でいらっしゃいますようお祈り申し上げます。

年末に向けて何かとお忙しいことと存じますが、まずはご自愛ください。

11月の結びの挨拶|健康・自愛を気遣う例文

11月の結びの挨拶は、手紙の末文で相手の健康や今後の繁栄を願いながら、やわらかく締めるのが基本です。
寒さに向かう時期なら「ご自愛ください」「お風邪など召されませんよう」といった言い回しが自然で、季節に合った気遣いとして印象にも残ります。
書き出しで季節感を出したなら、結びでは同じ語を繰り返さず、健康や相手への配慮に話題を移すと、文面全体がすっきり整います。

ビジネス向け結び例文

ビジネス文書では、感情を前に出しすぎず、相手の健勝や社の繁栄を端正に祈る表現が向いています。
11月の結びなら、寒さの深まりを受けて「向寒のみぎり、皆様のご健勝とご活躍を心よりお祈り申し上げます」「深冷の候、貴社のますますのご繁栄をお祈り申し上げます」といった漢語調が使いやすいでしょう。
こうした結びの後に「敬具」を添えると、頭語「拝啓」と自然につながりますし、改まった文面では「謹啓」に「謹言」を合わせる形も整っています。

実務では、結びのひと言がそのまま相手との距離感を示します。
たとえば、書き出しで紅葉や秋晴れに触れた原稿を、末尾でも同じ季語で終えると単調に映りがちです。
そこで結びを健康への気遣いに差し替えると、文章の重心が季節の描写から相手への配慮へ移り、より礼儀正しく見えます。
管理された文面ほど、末文のわずかな差が印象を左右するものです。

カジュアル向け結び例文

親しい相手への手紙や近況報告では、かしこまりすぎない口語調がなじみます。
たとえば「寒さも本格的になってまいりました。
風邪などひかれませんよう、どうぞご自愛くださいませ」や「朝晩かなり冷えますので、あたたかくしてお過ごしくださいね」が自然です。
相手の暮らしぶりを思いやる一文が入るだけで、便り全体がやわらかく、読み手の心に残りやすくなります。
結語は「かしこ」や、手紙の流れに合わせた締め方を選ぶと収まりがよいでしょう。

寒さが増す下旬の手紙で「お風邪など召されませんよう」と添えたところ、体調を気づかう返信が届いたことがあります。
たった一文でも、相手は「こちらを気にかけてくれている」と受け取りやすく、やり取りそのものが温まるのです。
11月の結びは、単なる形式ではなく、次の会話を生む小さなきっかけにもなります。
おすすめの書き方です。

書き出しと結びを重複させないコツ

書き出しと結びで同じ季語を繰り返さないことは、手紙をすっきり見せるための基本です。
たとえば冒頭で「紅葉が見ごろです」と入れたなら、末文でも紅葉を持ち出すのではなく、結びでは寒さ、体調、繁栄、今後の付き合いへ話題をずらしましょう。
季節の景色で始めた文面を、相手の健康を祈る言葉で閉じると、前文と末文の役割が分かれ、読み終えたときの印象が穏やかになります。

この切り替えは難しく見えて、実は発想の順番を変えるだけで整います。
書き出しは「今の季節の共有」、結びは「相手へのいたわり」と考えると迷いません。
頭語が「拝啓」なら結語は「敬具」、「謹啓」なら「謹言」と合わせ、季語は別のものへ移す。
この流れを身につけると、定型文でも堅苦しくならず、自然に品が出ます。
少し意識してみてください。

11月の時候の挨拶でよくある疑問と注意点

11月の時候の挨拶は、日付の取り違えや季語の重複が起きやすいところですが、迷ったら無理に凝らず、月全般に使える「霜月の候」に寄せると整えやすくなります。
立冬や小雪の正確な日付に自信がない場面でも、11月中に使いやすい表現を選べば、季節感を外しにくいでしょう。
さらに、手紙なのかメールなのか、相手が喪中なのかによって、入れるべき言葉は変わります。
形式を守ることより、相手に負担をかけない組み立てを選ぶことが肝心です。

時期を外した・季語が重複したときの直し方

時期を外したと感じたら、まず季語の精度を上げようとしすぎないことです。
立冬や小雪のような二十四節気は年によって1日前後するため、日付を強く断定すると、かえって違和感が出ます。
そんなときは「霜月の候」に置き換えると、11月中のどの時点でも使いやすく、書き出しと結びの両方で温度感をそろえやすいのです。
実際、立冬の日付を勘違いしかけた場面でも、霜月の候に切り替えたことで、無理のない一通に整えられました。

季語が重複したときも考え方は同じです。
書き出しで季節を示したなら、結びでは相手への気遣いに寄せ、同じ季語をもう一度強く押し出さないほうが自然に見えます。
季節感を足したい気持ちは分かりますが、重ねすぎると文面がくどくなる。
迷ったら、冒頭は漢語調、末尾は控えめな挨拶に分けると収まりがよくなります。

ビジネスメールで時候の挨拶は省略してよい?

ビジネスメールでは、時候の挨拶を省き、「お世話になっております」で始める書き方が一般的です。
短く要件に入るほうが読みやすく、相手の時間を取らないからです。
特に社内連絡や日常的なやり取りでは、あえて季節の一文を入れなくても失礼にはなりません。
むしろ、毎回長い前置きを付けるほうが、実務のテンポを損ねることがあります。

ただし、改まった案内状やお礼状では、時候の挨拶を入れると文書の格が整います。
メールでも、相手との関係が丁寧さを求める場面なら、霜月の候や晩秋の候のような一文を添えると印象が変わります。
要するに、文書の格式に応じて使い分けるのが実務的です。
日常連絡では省略、案内や礼状では挿入、この切り替えを覚えておくと迷いません。

ℹ️ Note

喪中の相手やお悔やみに関わる手紙では、繁栄や慶びを祝う表現は避けます。季節の挨拶を入れる場合も、華やかさより体調や心情への配慮を優先した控えめな結びにすると、相手に余計な負担をかけません。

喪中の相手に送る文面では、「おめでとう」「ご発展を」といった言い回しを外し、静かな気遣いだけを添えるのが基本です。
以前、喪中の相手へ手紙を出す際に祝いの言葉を外し、季節の移ろいに触れる短い一文だけを添えたことがありましたが、そのほうが落ち着いて受け取れたと感謝されたことがあります。
相手の状況を最優先にする判断は、文章を簡素にすることと表裏一体です。
きれいにまとめるより、負担を減らすことを選びましょう。

11月の手紙チェックリスト

公開前には、感覚ではなく項目で確認すると安心です。
まず、相手と文書の格に漢語調・口語調が合っているかを見ます。
次に、投函日と季語の時期がずれていないか、書き出しと結びで季語が重複していないか、頭語と結語がそろっているかを確かめましょう。
とくに11月は、立冬、小雪、霜月の候の使い分けがぶれやすいので、日付に自信が持てないなら霜月の候へ寄せると安全です。
仕上げは難しくありません。
順に見ていけば、自然に整います。

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高橋 誠一

大手商社での総合職15年を経てビジネスマナー研修講師に転身。名刺交換から国際儀礼まで、実践的なビジネスマナーを指導します。

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