6月の時候の挨拶|上旬・中旬・下旬の例文
6月の時候の挨拶は、梅雨と初夏が同居する水無月の手紙で、書き出しを迷いやすい表現です。
手紙は前文の頭語の直後に時候の挨拶を置き、6月は上旬の初夏・芒種、中旬の入梅・梅雨本番、下旬の夏至・向暑で景色が変わるため、日付に合わせて言葉を選ぶ必要があります。
商社時代には取引先へのあいさつ状で上旬に向暑の候を使い、先方から季節がまだ早いと指摘されたことがあり、それ以来は出す日付と漢語を必ず突き合わせるようになりました。
この記事では、梅雨の候、入梅の候、向暑の候の使い分けを軸に、相手のフォーマル度に応じた漢語調と口語調の両方を、日付の目安とともに整理していきます。
6月の時候の挨拶とは|手紙のどこで使うか
6月の時候の挨拶は、手紙の前文に置く季節の導入句で、頭語の直後に添えると文全体の流れが整います。
手紙は前文・主文・末文・後付の4ブロックで成り立ち、前文では頭語、時候の挨拶、相手の安否の順に並べるのが基本です。
6月は梅雨の重さと初夏の軽やかさが同居するため、同じ月でも選ぶ言葉が変わります。
手紙の前文での時候の挨拶の位置
手紙の時候の挨拶は、前文の中で頭語(拝啓など)の直後に置くのが定位置です。
前文・主文・末文・後付の4ブロックで成り立つ手紙では、この順序が崩れると、書き出しだけでなく全体の礼節まで曖昧に見えてしまいます。
ビジネスマナー研修で受講者の手紙を添削すると、時候の挨拶を主文の途中に差し込んでしまう例が目立ちますが、図解で「頭語のすぐ後」と示すと、たいてい一気に整います。
前文の三大要素は時候の挨拶・相手の安否・自分の近況ですが、場面によっては全部をそろえなくても構いません。
だからこそ、最初に置く季節の一言が、その手紙の第一印象を決めるのです。
漢語調と口語(和文)調の使い分け
時候の挨拶には、ビジネスや目上向けの漢語調と、親しい相手向けの口語(和文)調があります。
漢語調は「梅雨の候」「向暑の候」のように格調があり、あらたまった相手に向きますが、距離が近い相手に使うと少しかたく響きます。
逆に、会話に近い口調の時候表現は親しみが出るぶん、社外文書や改まった案内では軽く見えることもあります。
そこで判断の軸になるのが、相手との距離です。
実際にビジネスマナー研修で新入社員に『梅雨の候』と『あじさいの候』のどちらを使うか選ばせると、相手が取引先か親しい先輩かで言葉を切り替える感覚が、少しずつ腑に落ちていきました。
迷ったら、まず漢語調を基準にし、親しい相手なら口語調に寄せてみてください。
6月(水無月)の季節イメージ
6月は旧暦で水無月であり、梅雨のうっとうしさと、新緑・あじさい・初夏の爽やかさが同居する月です。
だからこそ、同じ6月でも何を切り取るかで時候の挨拶は変わります。
梅雨の雨を強く感じるなら「梅雨の候」が自然ですし、青葉や若葉の勢いを映したいなら「青葉若葉の候」「深緑の候」がよく似合います。
上旬は初夏の明るさがまだ勝っており、芒種を経て麦が実る景色を重ねた「麦秋の候」や、まだ暑さが浅い「薄暑の候」が使いやすいでしょう。
中旬は入梅の頃で、「入梅の候」や古語の「五月雨」が季節感をはっきり伝えます。
下旬は夏至を迎え、短夜や向暑へと空気が移るので、日付と景色を重ねて言葉を選ぶと、手紙に無理がありません。
6月全般で使える時候の挨拶
6月全般で使える時候の挨拶は、梅雨入り前後の揺れやすい日付に合わせやすいものを押さえるのが実用的です。
なかでも梅雨の候(ばいうのこう)は、梅雨入り後の6月全般に広く使える最も汎用的な表現で、発送先の地域差まで読み切れないあいさつ状でも季節感が崩れにくいのが強みです。
向暑の候、青葉若葉の候、深緑の候も使えますが、それぞれが映す季節の輪郭は少しずつ違います。
梅雨の候・梅雨寒の候の使い方
梅雨の候(ばいうのこう)は、梅雨入り後の6月全般に使える漢語の中でも、とくに守備範囲が広い言い回しです。
取引先の所在地によって梅雨入りがずれる全国一斉発送のあいさつ状では、実際にこの語を選ぶと、ある地域ではすでに雨が続き、別の地域ではまだ初夏の気配が残るというズレをまたぎやすくなります。
いつ届くか読み切れない手紙ほど、迷ったらこれを選ぶ価値があります。
梅雨寒の候(つゆざむのこう)は、同じ梅雨どきでも肌寒さを強く意識させる表現です。
梅雨の候が季節全体を広く包むのに対し、梅雨寒の候は空気の冷えを前面に出すため、単に「6月だから使える」ではなく、送る相手に伝えたい感触まで変わってきます。
入梅の候のように時期がやや絞られる語と比べても、使いどころの判断は季節の進み方だけでなく、手紙で何を映したいかで決まります。
向暑の候・青葉若葉の候の使い方
向暑の候は「暑い季節に向かう」の意味を持ち、6月全般から下旬まで幅広く使える表現です。
梅雨の湿り気を直接言わずに、これから暑さが増す流れだけを穏やかに示せるので、7月の暑中見舞いへも自然につながります。
青葉若葉の候と深緑の候は、新緑が濃くなる景色を映す語で、6月前半から全般にかけて爽やかさを出したいときに向いています。
格式の高い式典案内では、深緑の候を採用すると雨の重さを避けながら初夏の品を添えやすく、先方の反応も良好でした。
梅雨の季節であっても、あえて緑の深まりを切り取ることで、受け手に湿気より清々しさを印象づけられるからです。
青葉若葉の候も同様に、あじさいや雨音に寄せず、若葉の伸びやかな気配を前面に出したい場面でおすすめです。
そのまま使えるビジネス書き出し例文
時候の挨拶は、頭語の直後に置き、前文として相手の安否と自分の近況へ続けるのが基本です。
6月のビジネス文書では、拝啓と敬具を対で使い、時候フレーズの後に相手の繁栄を喜ぶ定型をつなげると、型が整って見えます。
短くまとめるなら、梅雨の候を軸にしておくと失敗しにくいでしょう。
そのまま使える形なら、次の書き出しが実用的です。
拝啓 梅雨の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。 平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
この形は、季節の語で入口を整えたうえで、相手の繁栄への祝意を自然に重ねられるのが利点です。
向暑の候に替えれば下旬寄りの印象になり、青葉若葉の候や深緑の候に替えれば、雨を避けた軽やかな書き出しにできます。
おすすめです。
6月上旬の時候の挨拶
6月上旬のあいさつ文は、芒種の空気を押さえるだけでぐっと整います。
2026年の芒種は6月6日(土)で、6月20日頃までのあいだは稲や麦の景色が言葉の背景になりやすく、初夏らしい漢語がよく映える時期です。
梅雨入り前後の揺れがあるぶん、季節感を外さない語を選ぶことが印象を分けるでしょう。
芒種・初夏を映す漢語
芒種は二十四節気の一つで、2026年は6月6日(土)に入ります。
そこから6月20日頃までの上旬から中旬にかけては、田植えや麦の実りが話題にのぼりやすく、時候の挨拶にも農の景色が自然に重なります。
単なる暦の説明ではなく、相手の暮らす季節を言葉で映すのがあいさつ状の役割です。
だからこそ、初夏の明るさを写す漢語を選ぶと、文面全体に落ち着きが生まれます。
麦秋の候・薄暑の候の意味
「麦秋の候(ばくしゅうのこう)」は、麦が実る初夏を指す語です。
秋という字が入るため誤解されやすいのですが、実際には夏の季語として扱うのが自然で、6月上旬に使うと季節の運びがきれいにそろいます。
読み方と意味をセットで覚えておくと、漢語の印象だけに引きずられず、安心して使えるはずです。
6月初旬に『麦秋の候』であいさつ状を出した際、年配の取引先から「季語の趣がある」と褒められ、上旬ならではの語を選ぶ価値を実感したことがあります。
「薄暑の候(はくしょのこう)」は、やや汗ばむ初夏の暑さを表す上旬向けの語です。
まだ真夏ほどではない、けれど袖口に少し熱を感じる、そんな時期にしっくりきます。
雨の重さよりも爽やかさを出したい場面では使いやすく、梅雨入り前後の微妙な時期に季節のずれを避ける助けになります。
研修では、受講者が上旬に「梅雨の候」を選びがちだったため、まだ梅雨入り前の地域もあると気づいてもらい、「薄暑の候」へ直すことで違和感を減らしました。
上旬のビジネス・カジュアル例文
上旬の文面では、相手との関係性に応じて語感を少し変えるとまとまりやすくなります。
ビジネスなら漢語の格調を生かし、カジュアルなら初夏のやわらかさを前面に出すと、同じ6月上旬でも受ける印象が変わります。
おすすめです。
ビジネスの完成例文は、次のようにまとめられます。
拝啓 麦秋の候、皆様におかれましてはご清栄のこととお喜び申し上げます
初夏らしさを保ちながら、礼儀正しさもきちんと伝わる書き出しです。
漢語のひと言で季節を立て、そのあとに相手の健康や繁栄を願う流れにすると、あいさつ文らしい安定感が出ます。
相手先が年配でも若手でも使いやすく、少し改まった場面なら。
カジュアルなら、硬さを少しゆるめて次のようにすると自然です。
初夏の風が心地よい季節となりましたが、お変わりありませんか
親しい相手に向けた文面では、漢語を無理に入れなくてもかまいません。
季節の空気を先に置き、そのあとで相手を気づかう形にすると、読み手にやさしい温度が残ります。
上旬のあいさつでは、こうした書き出しを使い分けてみてください。
6月中旬の時候の挨拶
6月中旬の時候の挨拶は、梅雨入りの空気をそのまま映す漢語を選ぶと、季節感がすっと伝わります。
とくに雑節の入梅を目安にすると、「入梅の候」や「五月雨」といった表現を無理なく使い分けられるようになるでしょう。
雨の続く時期だからこそ、言葉には湿り気ではなく、整った格調を添えたいところです。
入梅の候・梅雨晴の候の使い方
入梅は太陽黄経80度の頃に当たり、毎年6月11日前後を指します。
この暦の区切りがあるため、実際の天気が先に雨へ傾いていなくても、6月中旬の手紙では「梅雨に入った頃合い」として言葉を整えやすいのです。
受講者から「梅雨入り宣言の前に『入梅の候』を使ってよいのか」と尋ねられたことがありますが、雑節はあくまで暦の基準なので、日付の目安として扱えばよいと伝えると納得が得られました。
梅雨の実感と暦の基準がずれる時期だからこそ、言い回しの軸があると迷いにくくなります。
「入梅の候(にゅうばいのこう)」は、暦の上の梅雨入りを端正に表す語で、6月中旬の書き出しに最もなじみます。
実際の梅雨入りがまだでも、入梅という雑節に合わせて使えるため、季節感を先取りしつつも不自然になりません。
「梅雨晴の候」は、雨の合間に青空がのぞく日に合う柔らかな表現で、長く雨が続く中にも一息つく明るさを添えられます。
相手との距離感や文面のかたさを見て、格調のある「入梅の候」と、やややわらぐ「梅雨晴の候」を使い分けるとよいでしょう。
五月雨・長雨を映す表現
「五月雨(さみだれ)」は、旧暦五月、つまり現在の6月頃に降り続く梅雨の雨を指す古語です。
読みを添えずに書くと「ごがつあめ」と誤読されやすく、由来を知らない相手には意味が伝わりにくいことがあります。
親しい相手への手紙で「五月雨」を使ったところ、「5月の雨ですか」と受け取られかけたことがあり、旧暦由来を一言添えるだけで伝わり方が大きく変わりました。
古語は風情が魅力ですが、意味の手がかりをひとつ置くことが、かえって読み手への思いやりになります。
あわせて使いやすいのが「長雨の候」です。
こちらは梅雨の期間全体を広く受け止められるため、入梅の前後を厳密に気にしすぎたくないときにも使いやすい表現です。
とはいえ、漢語調の挨拶としてはやや重みがあるので、相手との関係が近い場合は「五月雨」や、花や空模様を織り込んだ文へ寄せると、やわらかな印象にまとまります。
雨そのものを避けるのではなく、雨の時間をどう受け止めるかが、この時期の表現選びの分かれ目になるのです。
中旬のビジネス・カジュアル例文
中旬の挨拶は、冒頭で季節を示し、そのあとに相手の健やかさへ自然に移る形が扱いやすいです。
ビジネスでは格調を保ちつつも長すぎない文が読みやすく、カジュアルでは雨の景色を一つ入れると、6月中旬らしさがやわらかく立ち上がります。
入梅の候、梅雨晴の候、五月雨、長雨の候を無理なく置ける時期なので、相手や用件に合わせて一段階ずつ選んでみてください。
ビジネスの完成例文は、まず「拝啓 入梅の候、貴社いよいよご隆盛のこととお慶び申し上げます」が使いやすいでしょう。
季節の語で始めることで、冒頭から整った印象になり、その後の本文も書き進めやすくなります。
カジュアルなら「お手紙では『五月雨』のような言い方も素敵ですが、雨の景色を素直に映すなら『あじさいの花が雨に映える頃となりましたが、いかがお過ごしでしょうか』のような書き出しも。
読み手が情景を思い浮かべやすく、季節のやわらかさがそのまま届きます。
文末まで押し切らず、相手を気づかう一文を添えてみてください。
6月下旬の時候の挨拶
6月下旬の時候の挨拶では、季節の移ろいを夏至と結びつけて書くと、文面に自然な芯が通ります。
2026年の夏至は6月21日(日)で、一年で最も昼が長い日ですから、梅雨の湿り気を残しながらも、言葉は少しずつ暑さへ向かう表現へ切り替えるのがなじみます。
下旬に「梅雨の候」を引っぱりすぎるより、夏至以後の空気感を受けた語を選ぶほうが、読み手にも季節の進み方が伝わりやすいでしょう。
夏至・短夜を映す漢語
夏至は、暦の上で日差しの頂点を示す節目であり、2026年は6月21日です。
この日を境に、実感としてはすぐ猛暑になるわけではなくても、昼の長さを前提にした書き出しが映えるようになります。
そこで役立つのが「短夜の候(たんやのこう/みじかよ)」で、夜が短くなっていく夏至前後の空気をそのまま写せる語です。
季節の機微を少し品よくにじませたいときに向いており、単に暑さを述べるよりも、余韻のあるあいさつになります。
「短夜」は、短い夜そのものを示すことばですから、夏至との相性がとてもよいのです。
日が長く、夕暮れが名残惜しく感じられる時期に使うと、書き手が季節の変化を丁寧に見ている印象が出ます。
特に6月下旬の文面では、梅雨明け前の落ち着きと、これから暑さが本格化する前触れの両方を受け止められる点が便利です。
季節感を細かく整えたいなら、まず候補に入れておきましょう。
向暑の候で月をまたぐ
下旬のあいさつで最も使いやすいのは、「向暑の候」です。
文字どおり暑さへ向かう時季を表すため、夏至を過ぎた空気とよく重なりますし、梅雨のしっとりした気配を残しつつも、読み手の意識を次の季節へ進めやすいのが利点です。
6月末にこれを選んでおくと、7月の暑中見舞いへ文面の流れが自然につながり、月をまたいだ手紙づくりがぐっと楽になります。
実務の場でも、この切り替えができるとあいさつ状が整いやすいのです。
実際、6月末の文案をまとめる場面では、下旬まで「梅雨の候」を使い続けていた受講者に、夏至以降は暑さへ向かう語が合うと伝え、「向暑の候」へ直すだけで季節感が更新されることがありました。
季節語は暗記よりも、空気の向きを読むほうが失敗しにくいものです。
梅雨の静けさを引きずるより、これから来る暑さを見据えた表現に寄せると、受け手にも違和感が残りません。
月末の一通を、翌月の入口として設計してみてください。
下旬のビジネス・カジュアル例文
6月下旬の完成形としては、ビジネスなら「拝啓 向暑の候、貴社ますますご繁栄のこととお慶び申し上げます」が使いやすく、端正で場面を選びません。
相手先の繁栄をまず立てる定型の流れに、「向暑の候」がほどよく季節感を添えます。
暑さへ向かう時期であることを簡潔に伝えつつ、7月の暑中見舞いに接続しやすいのも実用的です。
かしこまりすぎず、しかし崩れすぎない、下旬らしいバランスが取れます。
カジュアルな文面では、「夏至を過ぎ、日の長さが嬉しい頃となりましたが、お元気でお過ごしでしょうか」が自然です。
短夜の感覚をやわらかく言い換え、季節の実感を相手と共有する書き方になるため、親しい相手への便りにもなじみます。
相手との距離に応じて、漢語の硬さを少しだけほどくと、6月末らしい親しみが出るでしょう。
まずはこの2本を基準にして、相手や用途に合わせて語尾を整えてみてください。
6月の結びの挨拶
6月の結びは、書き出しで使った時候の挨拶をそのまま繰り返さず、別の角度で季節感を添えると、手紙全体がすっきりまとまります。
とくに梅雨どきは、雨の表現を重ねるよりも、相手の体調や仕事の先行きを気づかう一文に切り替えると、読み終わりの印象がやわらぎます。
結語は頭語と対で整え、拝啓なら敬具、より改まる場面なら謹啓に謹白を合わせるのが基本です。
女性が使うかしこは、頭語を省いた文面でも自然に収まります。
ビジネス向けの結び例文
ビジネス文書の結びは、相手の活躍や繁栄を祈る文で締めると収まりがよくなります。
たとえば「時下ますますのご発展をお祈り申し上げます」は、用件のあとに置く定番の型で、過不足なく敬意を示せます。
書き出しで「梅雨の候」と置いたなら、結びまで同じ語を引きずるのではなく、雨の季節を踏まえつつ相手企業の発展へ視線を移すと、文面に奥行きが出るでしょう。
添削の現場でも、冒頭と結びの両方に「梅雨」が並んだ手紙はやや重たく見えましたが、結びを繁栄祈念に変えるだけで、読み心地がぐっと軽くなりました。
たとえば、以下のような締め方が使いやすいです。
- 時下ますますのご発展をお祈り申し上げます。
- 末筆ながら、貴社のご清栄を心よりお祈り申し上げます。
- 今後ともご厚誼を賜りますようお願い申し上げます。
改まった手紙では、こうした定型があるだけで全体の格が整います。
相手の健康に触れる場合でも、ビジネスでは繁栄や発展へつなげると自然です。
用件をきちんと伝えたあと、最後を穏やかに閉じましょう。
カジュアル向けの結び例文
親しい相手への結びは、健康や幸せを願う文にすると温度が伝わります。
梅雨明けまでもうしばらく、どうぞお体に気をつけてお過ごしください、というように季節の体調へ寄せる一文は、長雨で気分が沈みやすい時期ほど効きます。
添削していると、結びにひと言あるだけで「読んだあとに気持ちがほどける」と感じる手紙が少なくありませんでした。
季節の挨拶は飾りではなく、相手への思いやりを最後にもう一度手渡す役目を持っています。
カジュアルな文面なら、少し柔らかく言い換えてもよいでしょう。
- しばらく雨の日が続きますが、どうぞご無理のないようお過ごしください。
- 梅雨空の毎日ですが、体調を崩されませんようお元気でいてください。
- またお会いできる日を楽しみにしています。
ここで意識したいのは、書き出しの季節感をそのまま引き返させないことです。
冒頭が雨の風景なら、末尾は相手の暮らしや気持ちに寄り添う言葉へずらすと、文章の流れがやさしく整います。
親しみのある相手ほど、ひと呼吸置いた締めくくりが効いてきます。
梅雨どきの健康を気づかう一文
梅雨どきの結びでは、気候の不安定さをふまえて、体調への気づかいを短く添えると実用的です。
長雨で冷えやすい、湿気で疲れが抜けにくい、外出の機会が減って気分が沈みやすい、といった季節の特徴を踏まえると、結びの一文は単なる飾りではなく、相手の一日を少し支える言葉になります。
実際、梅雨どきの長雨で体調を崩しやすい時期に、結びへ気づかいの一文を添えた手紙はとても喜ばれました。
季節の文は、相手の生活を見ている姿勢そのものだと受け取られやすいのです。
使いやすい表現としては、次のようなものがあります。
- くれぐれもご自愛のうえ、健やかにお過ごしください。
- 雨の多い時季ですので、どうぞお身体を大切になさってください。
- 梅雨明けまで、どうぞご無理のない日々をお過ごしください。
結語まで含めて整えるなら、拝啓のあとに敬具を置き、より改まる文なら謹啓と謹白を合わせます。
女性の文面では、かしこを用いるとやわらかな余韻が残ります。
前文と末文を一通として見たとき、こうした組み合わせがあると、季節の手紙はずっと品よくまとまるでしょう。
大手商社での総合職15年を経てビジネスマナー研修講師に転身。名刺交換から国際儀礼まで、実践的なビジネスマナーを指導します。
関連記事
暑中・残暑見舞いの書き方と出す時期
暑中見舞いと残暑見舞いは、夏の盛りに相手の体調を気づかう季節の挨拶状であり、立秋を境に呼び方が切り替わる手紙です。ビジネスマナー研修では、取引先への暑中見舞いの一文が原因で気まずくなったという相談を毎夏のように受けてきましたが、つまずきやすい順に押さえれば心配はいりません。
寒中見舞いの書き方と文例|時期・喪中マナー
寒中見舞いは、1月中旬から2月上旬の最も寒い時季に相手の健康を気づかう挨拶状で、暑中見舞いの冬版にあたります。純粋な季節の挨拶、年賀状を出しそびれたときや返礼の代用、喪中で新年の挨拶ができないときの代わりという3つの役割があり、まず自分がどのケースに当てはまるかを見極めると迷いません。
退職の挨拶文|社内・社外メール例文と送る時期
退職の挨拶は、社内外へのメール、最終日の口頭スピーチ・一言、印刷した退職挨拶状はがきという三つの形に分かれ、相手との関係と場面で使い分けるのが基本です。商社で部署異動や担当交代のたびに挨拶文を書いてきた経験でも、取引先の返信は「何を伝えれば十分か」がはっきりした文面ほど返りがよく、
送付状の書き方|基本構成と項目別テンプレ
送付状は、請求書や契約書を郵送・FAXで送るときに同封する添え状で、誰が・何を・何枚送ったかを明示してトラブルを防ぎ、あいさつも兼ねる文書です。ビジネスマナー研修で新入社員に最初に教えるのもこの一枚で、配置のルールさえ押さえれば、失礼のない形に整えられます。